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  1. 整形系
リウマチとは

リウマチとは自己免疫疾患が原因で発生する病気です。膠原病の一つで本来免疫とは、細菌など外部からの侵入者に対して排除する役割を果たしているのですが、この免疫機能が正常な細胞や組織に対して誤って反応し、攻撃してしまう病気です。特に、関節に発症しやすいので関節リウマチと呼ばれます。
リウマチについてはまだ不明な点が多く、原因や治療方法についても確立したものはありません。

 

 

関節リウマチの症状

初期症状としては関節が動かず、物を握れないようなこわばりが起こります。朝に起こりやすいことから「朝のこわばり」と呼ばれます。
次に現れる症状としては、関節が痛み出します。痛みの初期は手の指関節や足の指関節など末端に発症しやすいです。その後、手首や足首、肘や膝と徐々に体幹に進行してきます。胸骨や背骨には発症しにくいですが、頸椎に発症し、脊椎の損傷をきたすことがあります。関節の痛みは関節を動かすと増大するため次第に関節を動かさなくなり硬直していきます。さらに進行すると目に見える変化として関節が変形していきます。

 

 

関節リウマチの検査

 

【血液検査】
内視鏡的逆行性胆管膵管造影(ERCP)
血液中の免疫機能成分である白血球や血小板の増加など炎症所見が見られ、またリウマチの患者特有の成分を検査します。

 

【血液検査( 腫瘍マーカー)】
膵がんがあると、血液中の膵酵素が異常値を示すことがあります、発症していることが前提になるので早期発見には不向きです。

 

【画像検査】
・MRI
関節のびらんや破壊を評価するのに用いられ、軟骨病変や骨髄浮腫の評価を行うのに優れています。

 

【超音波断層検査】
骨びらんや滑膜炎を検出するのに用いられます。

 

 

関節リウマチの治療方法

薬物療法

以前までの薬物療法は、炎症や痛みを抑える目的で行われていましたが、少しだけ研究が進み、病気の進行を抑えて関節が破壊されるのを防げる例も出てきています。

 

リハビリ

理学療法士や作業療法士と共に関節が固まるのを予防し、体の機能回復を目的におこなわれます。
指や手関節など末梢の運動に加えて、大腿や肩、首など大きな関節の運動も行います。また症状に応じて患部温めたり冷やしたりします。

 

手術

関節に変性きたした場合の選択肢として行われます。関節を人工物に変えたり(人工関節置換術)、神経を圧迫している場合に関節固定術を行ったりします。

 

肩関節の構造

の体の中で最も可動域の大きな関節です。そのため、構造も大変複雑になっています。肩関節は、上腕骨と肩甲骨関節窩(狭義)とで成り立っており、上腕骨の端(上腕骨頭)に肩甲骨が覆い被さる様な構造となっています。さらに上腕骨と肩甲骨肩峰との間に腱板があり、二重の構造になっています。

 

 

肩関節痛の原因

様々な原因により関節に炎症が起こったり、複雑に絡み合った骨や腱や筋肉に損傷が起こった場合に発生します。それぞれの症状により、治療方法が変わってきます。

 

 

代表的な疾患と治療方法

代表的な疾患について原因と治療法をあげます。
【五十肩(肩関節周囲炎)】
年齢を重ねるほど発生しやすい疾患で40代~60代が好発時期です。関節の可動域に制限が生じ、腕が上がらなかったり、痛みが発生します。痛みは片方の場合と両方の肩に発生する場合があります。原因は、加齢に伴い肩関節の周辺組織が変性してしまい、関節内で炎症が発生してしまうためです。 五十肩は、症状から三期に分けられます。 急性期:痛みが強くなるとともに、肩関節が動きにくくなります。(発症~2週間程度) 慢性期:徐々に痛みは減るが、肩関節は動きにくいままです。(2か月~1年) 回復期:痛みは少なくなるものの、可動域には若干制限が残ります。 ・治療方法 ほとんどが、鎮痛剤や注射、リハビリにて回復します。しかし、可動域にひどい制限が残る場合は手術が必要な場合があります。

 

【石灰沈着性腱板炎】
五十肩と症状は似ていますが、夜に突然激しい痛みが出現する傾向にあります。原因としては、関節内にミルク状のカルシウムが腱板に付着し、徐々に固まっていきます。さらに症状が進むと炎症を起こし、痛みが発生します。

・治療方法 カルシウムがまだミルク状の場合は、注射針をさし、吸引して抜き取ります。 鎮痛剤や注射、リハビリにて回復します。しかし、可動域にひどい制限が残る場合は手術が必要な場合があります。

 

【肩腱板断裂】
症状は五十肩と似ていますが、可動域の制限が発生することは少ないです。また、腕を挙上する際、ジョリジョリと音がする場合があります。原因としては、肩を使いすぎによる腱板の老化や外傷によります。一度切断してしまうと自然治癒は見込めません。

・治療方法 ほとんどが、鎮痛剤や注射、リハビリにて回復します。しかし、肩の痛みが取れない場合は断裂部を縫合します。手術後は装具にて固定を行い、1か月ほどの安静が必要です。

 

【変形性肩関節症】
上腕骨頭と肩甲骨の間にある軟骨や周辺組織が損傷し、関節が変性しています。徐々に痛みや可動域に制限が発生してきます。

・治療方法 基本的に鎮痛剤や注射、リハビリによる保存療法を行います。保存療法では痛みが取り除けなかったり、症状が改善しない場合は、手術の検討が必要になります。滑膜切除や人工関節(人工骨頭置換術、人工肩関節置換術)などが選択されます。

 

【その他】
●肩こりは病名ではありません。体の疲れや筋肉疲労、不自然な姿勢の長時間保持、ストレスなどにより引き起こされます。肩の筋肉が緊張することで発生する血行不良や筋肉活動の老廃物としての乳酸などが原因です。

 

●頸椎症

背骨(頸椎)の中を通っている神経が何らかの要因で、圧迫されたり、傷がついてしまうことで、肩に痛みが発生する場合があります。頸椎椎間板ヘルニアの場合は、肩、首の痛み(ピリピリっとする)に加えてしびれ、力が入らないなどがあります。

 

●狭心症・心筋梗塞
心臓に栄養を運ぶ血管が狭くなったり、詰まったりして、心臓の動きを悪くしてしまう病気ですが、発症の前兆として左肩の痛みを訴えられる方もいらっしゃいます。特に、血圧や血糖値、コレステロール値が高い方は注意が必要です。

 

【スポーツ外傷】
●反復性肩関節脱臼

初めて脱臼した場合、肩関節を整復(関節をはめる)し、固定と安静にて回復しますが、脱臼を何度も繰り返すことで‘脱臼クセ’がついてしまい、手術が必要になります。手術後は、1か月ほどで軽作業が可能になり、3か月ごろからは、スポーツも可能になり、半年をめどに通常の生活が再開できます。

膝関節の構造

膝関節は体の中で最も大きい関節の一つです。大腿骨、膝蓋骨、脛骨の3つの骨から成り立ち、さらに骨の周りを軟骨や腱・靭帯で構成されています。横から見ると、平らな脛骨の上に丸い型の大腿骨が載り、膝蓋骨が前面で支えているような構造になっています。この構造だけでは不安定なため、骨と骨の間に靭帯や半月板があって安定して動きやすくなっています。

 

 

膝関節痛の原因

膝関節には立っているだけでも負担がかかります。それに加えて曲げたり伸ばしたりという運動が頻回に行われる関節です。そのため、加齢とともに軟骨がすり減ってゆき、関節内変形が発生し炎症が起こります。そのため関節液が増えて痛みが発生します。膝関節疾患の代表的なものが、変形性膝関節症と関節リウマチです。最近は、運動ブームもあり、激しい運動による関節障害や成長期に起こりやすい怪我、スポーツでの受傷などがあります。

 

 

代表的な疾患と治療方法

●変形性膝関節症
加齢とともに骨と骨との間にある軟骨がすり減ってしまい、関節内に炎症を起こしてしまいます。すり減ってしまった軟骨は元には戻らないため、症状は少しずつ悪化してゆきます。さらにひどくなると、軟骨がなくなり、大腿骨と脛骨が露出したり膿腫が出来ることもあります。こうなってしまうと歩行が困難になり、下肢の筋肉が弱ってゆきます。早めの予防や治療が必要です。肥満の人や運動不足、O脚の人は要注意です。

 

【治療方法】

症状が軽い場合は、鎮痛剤や関節内注射、リハビリなど保存的に治療します。保存的治療で治らない場合は、手術(骨切り術、人工膝関節置換術等)が必要になることもあります。

 

●関節リウマチ

症状は、変形性膝関節症と同様に関節痛です。原因は自己免疫疾患の一つです。免疫機能とは、細菌が体の中に侵入する異物を防ぐ大切な機能ですが、時に関節内の滑膜に炎症を起こして、関節を破壊してしまうことがあります。これをリウマチと呼び、関節に発症すると関節リウマチといいます。30~50歳代で発症しやすく、5人中に4人が女性です。進行していくと、関節が腫れたり、ひどい場合は関節が破壊されて変形してしまいます。早期発見と早期治療が必要になります。

 

【治療方法】

以前は、有効な手段がなく、薬で炎症や痛みを抑えたり、悪くなった部位を手術で取り除くくらいしかできませんでした。しかし、研究が進んだことで新しい薬が開発され、病気の進行を食い止めて関節が破壊されるのを防ぐことが可能になってきました。

 

●半月板損傷
半月板は膝関節の大腿骨と脛骨の間に存在し、軟骨性の円板状で膝の内側と外側にあります。関節内のクッションの役割と膝関節の安定的運動に重要な役割を果たしています。半月板が損傷すると、屈伸運動の時に痛みが発生したり、スムーズに動かず、引っかかりを感じたりします。原因は主にスポーツによる外傷と加齢による病変があります。時々、強い痛みと腫れが生じることがあります。

 

【治療方法】

鎮痛剤や注射、リハビリによる保存的方法により症状が改善することがあります。それらの治療でも治らない場合は、手術(半月板切除、半月板縫合)を行うこともあります。

 

●膝靭帯損傷
靭帯は骨と骨をつなぐ役割と膝関節を安定させる役割を担っています。発症の原因としては、スポーツによる外傷や、交通事故などで大きな力が加わった時に靭帯が損傷してしまいます。好発部位は内側側副靭帯と前十字靭帯です。

 

【治療方法】

損傷した靭帯により治療方法が若干異なります。軽症の場合は、サポーター等により固定を行います。内側側副靭帯の場合はそのまま保存療法を行いますが、前十字靭帯場合は、膝の不安定が出現するため、手術で修復または再建術を行ないます。

 

●オスグッド(オスグッドシュラッター病)
オスグッドシュラッター病は、成長期の膝のスポーツ障害で、膝の運動に耐えることが出来なくて起る障害です。運動で、膝の下の骨(脛骨結節)が引っ張られて、その引っ張りに耐えられなくなって骨が突出してしまいます。オスグッド病が痛い原因はこの引っ張る力で過緊張になるためです。発症には男女差があり、男性の場合は小学校高学年から16歳ごろまで、女性の場合は14歳~15歳ごろに発症します。特に蹴る運動(サッカー)や跳ぶ運動(バスケットボール、バレーボール)をしている人に発症しやすいです。多くの場合、成長とともに20歳ごろで痛みはなくなります。対策は痛い時期は無理な運動はさけて、負荷をかけないことです。

 

●膝蓋骨脱臼
膝蓋骨(膝の皿)が本来の場所から外側にはずれてしまい、激痛が走ります。跳ぶ運動(バスケットボール、バレーボール)をしている人に発症しやすく、見た目ですぐわかります。脱臼時に骨折がない場合は、整復したあと膝サポーターなどで固定します。反復して繰り返す場合は、膝蓋靭帯を内側に移動する手術を行う場合があります。

 

●化膿性膝関節炎
感染による腫脹と痛みです。関節内に何かの原因で細菌が入り、関節内が化膿してしまう病気です。痛みや腫れのほか、熱発、発赤、悪寒、食欲不振などの症状が現れます。進行すると、膝関節の一部が破裂して膿が出て、膝関節周辺が壊死してしまうことがあるため早急な対応が必要です。

 

【治療方法】

診断がつき次第、抗生物質の点滴を行い、関節内の膿を注射器で抜き取ります。必要な場合は手術で関節を切開して膿を排出して、十分に洗浄します。

腰痛

腰痛にはさまざまな種類・原因があります。腰(脊柱)由来である場合、腰以外が要因である場合がありますので、必要に応じて画像診断等の検査を実施し、正確な診断を行っております。
筋肉の疲労やこりによる場合もありますが、背骨(脊椎)の変形や骨折など、骨に異常が起きているケースも少なくありません。その一方で、検査結果では異常が見られないものの「痛み」でお困りの患者様が多くいらっしゃいます。多くの日本人が悩まされる病気ですが、腰痛持ちの方の85%は原因が不明といわれています。

 

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原因

・デスクワークや長距離の運転など長い時間同じ姿勢でいる
・激しい運動や無理な動きを繰り返す
・引っ越しや介護など、中腰での力作業をする
・事故などで腰に大きな衝撃を受けた
・妊娠や育児などで過剰な負担がかかる

など原因は様々です。

 

 

主な疾患

【成長過程でなりやすい疾患】

●脊柱側弯症
脊椎が10度以上曲がっている場合に側弯症と診断します。側弯症は成長期に進行することが多く、成長の停止とともに進行速度も遅くなる傾向があります。女性に多く見られ、側弯症になると両肩の高さ、肩甲骨の出っ張り方などが左右で異なってきます。

 

●脊椎分離症
脊椎の関節突起間部が分離している疾患です。主に5番目の腰椎に生じ、スポーツを行なう学童期に多く発症します。主な症状は腰痛ですが、運動時に腰痛があっても、普段はあまり症状がないことが多いため、放置される例も少なくありません。

 

【加齢が原因になりやすい疾患】
●腰部脊柱管狭窄症
背骨には脊柱管と呼ばれる孔があります。体を支え続けていると背骨が変形して脊柱管が狭くなってきます。腰部脊柱管狭窄症は、50歳代以降から徐々に増加します。脊柱管が狭くなると、そのなかを走っている神経が圧迫されて、下肢の神経痛やしびれ、麻痺が発生します。時には、排尿後にまだ尿が完全に出し切れない感じ(残尿感)などが発生します。腰部脊柱管狭窄症では、長距離を続けて歩くことができなくなります。

 

●椎間板ヘルニア
椎間板は、椎骨と椎骨の間に存在し、背骨に加わる衝撃を緩和するクッションの役割を担っています。椎間板は中心部にゼリー状の柔らかい組織があり、年齢とともにみずみずしさがなくなっていきます。この椎間板に強い圧力が加わると亀裂が生じ、椎間板のゼリー状の組織が押し出され突出します。これを椎間板ヘルニアと呼びます。突出した椎間板が周囲の神経に触れると下肢に痛みが生じます。症状が進行すると、蹴まづきやすいなどの運動障害が起こります。

 

●腰椎変性すべり症
腰の骨が前後にずれてしまう病気で、中年以降の女性に好発し、第4番目の腰椎に認められれることが多いです。多くは加齢とともに腰椎の椎間板や関節・靭帯がゆるみ、腰椎がずれるようになり、脊柱管が狭窄することで神経が圧迫され、腰痛や下肢の痛み・しびれが生じます。末期になると安静時にも下肢の痛みやしびれが出現するようになります。

 

●頸椎後縦靭帯骨化症
脊髄に接している後縦靱帯が骨化して、脊髄を圧迫する病気です。40~50歳台の男性に多く、糖尿病との関連が指摘されています。進行すると脊髄圧迫による首や肩の痛み、四肢のしびれ、運動障害、歩行障害などが生じます。また症状がないか軽くても、転倒などの怪我で脊髄麻痺を生じることがあるので注意が必要です。なお厚生労働省特定疾患として認められています。

 

●骨粗鬆症
骨粗鬆症は、新しい骨を作るために骨をとかす働きが新しい骨を作る働きを上回り、骨の量が減少した状態をいいます。
骨粗髪症になると骨がスカスカになるだけではなく、骨の質も変化するため、骨が脆くなります。骨の代謝は女性ホルモンの影響をうけるため、女性では閉経後に多く見られます。骨粗鬆症では骨が脆くなるため、ちょっとしたことでも脊椎・関節・大腿骨などの骨折が起こりやすくなります。

 

【事故やその他】
●脊椎脊髄損傷
事故などで脊髄を傷つけることを脊髄損傷といい、四肢体幹、膀胱直腸に様々な程度の麻痺を生じます。受傷原因としては、交通事故、高所からの転落事故、転倒、スポーツ事故などが多いです。

 

●脊椎・脊髄腫瘍
背骨にできた腫瘍(がん)です。初めから脊椎に発生した原発性と他の部位にできた悪性腫瘍が転移した続発性とに分類されます。さらに原発性脊椎腫瘍は良性と悪性に分類されます。原発性の頻度はまれですが、種類も豊富で若年者から年配の方までの幅広い年齢層にみられます。一方、転移性脊椎腫瘍は中・高齢者に多い傾向にあります。

 

●化膿性・結核性脊椎炎
背骨に細菌が付着し、骨の感染を起こした状態です。細菌感染によるものを化膿性脊椎炎、結核菌感染によるものを結核性脊椎炎と呼びます。発症年齢は中・高齢者が大部分です。一般的な症状は発熱や骨髄炎に伴う病巣部の痛みですが、神経を圧迫している場合には手足に進行性の麻痺が発生することもあります。

 

 

診断

下記の機器を用いて診断を行っていきます。

 

【X線レントゲン検査】
・骨が潰れているかどうか
・骨が湾曲してないか
・骨がずれているか
・椎間板の厚みの減少について
・加齢による骨の変形について
・腫瘍の有無について

 

【MRI検査】
・筋肉・靭帯・骨の形態の診断
・脊柱管・椎間板ヘルニアなどによる神経圧迫の有無
・手術適用かの判断

 

【尿検査・血液検査】
・骨粗鬆症の診断(血液中カルシウム濃度)
・尿路結石症・胆石症・膵臓炎など腰以外が要因であるかどうかの診断

 

 

治療方法

消炎鎮痛剤などを内服し、痛みが軽減してきたら腰部のストレッチングや筋力訓練をおこないます。腰痛が強い場合は、コルセットを装用し日常生活で腰に負担のかかる動作を避け安静にします。治療は保存療法(内服薬、ブロック注射療法、コルセット、理学療法など)が原則ですが、運動器リハビリテーション、装具療法、牽引などを行う場合があります。
さらに適切な治療にも関わらず下肢の痛みが治らない場合や下肢の麻痺が進行する場合や前述の排尿、排便障害がでてくるような場合には、手術が必要です。
手術の内容としては、圧迫している部分の骨を削る方法(除圧術)や前方から骨化を取り除き、骨を移植して固定する方法(前方固定術)と、後方から椎弓を形成して脊髄の圧迫を解除する方法(椎弓形成術・脊柱管拡大術)などがあります。

骨粗しょう症とは

骨の強度や密度が低下してしまい、骨の中がスカスカになってもろくなる病気を骨粗しょう症といいます。古代エジプトのミイラからも骨粗しょう症は発見されており、決して新しい病気でも珍しい病気でもありません。骨粗しょう症になると、骨がもろくなっているため様々な部位を骨折する危険性が大きくなります。進行した骨粗しょう症になると、くしゃみをしただけで骨折したという例もあります。 骨粗しょう症になる人の割合は女性に多く、50歳以上の3人に1人は骨粗しょう症といわれています。骨粗しょう症は加齢とともに発症する可能性が高くなります。更年期以降の女性にとってはとても身近な病気です。骨粗しょう症になると、椎体(背骨)の骨折が起こりやすくなります。それ以外では特に大腿骨骨折が起こりやすく、手首足の付け根、腕の付け根でも起こります。いったん骨折してしまうと、動けない状態が長期間続きし、それが寝たきりの原因になります。寝たきりになった原因として骨折・転倒が上位に挙がってきますが、骨粗しょう症を患った方がここに入ってくることが多いようで、高齢社会を迎えた現代が抱える1つの社会問題になりつつあります。

 

 

骨粗しょう症の原因

骨は硬いので一度作られると変化しないように思われますが、実際は常に破壊と再生を繰り返しています。骨を壊す「骨吸収」と、骨をつくる「骨形成」が常時行われ、常に新しい骨につくり替えられています。その作業の中でも女性ホルモンには、このつくり替えのバランスを保つ働きがあるといわれています。女性は、閉経すると女性ホルモンの分泌量が低下します。女性ホルモンが減って バランスを保つ機能がしっかり働かなくなると、骨の代謝のバランスが崩れ、骨形成のスピードより骨吸収のスピードが上回って、骨密度が低下します。骨密度が低くなって骨の強度が低下した状態が骨粗しょう症です。 一方で、男性は、女性ホルモンと関係する部分が少ないため骨密度の減少が緩やかです。

 

 

骨粗しょう症の症状

骨粗鬆症は初期の頃はほとんど症状がないため、気づかない間にじわじわと進行する病気です。骨粗鬆症が疑われる症状としては以下のようなものがあります。

・若い時より身長が2㎝以上縮んだ ・背骨や腰が曲がっている ・背中や腰が痛む などが挙げられます。

 

 

骨粗しょう症の診断

様々な検査を組み合わせて行われます。

 

1、問診・診察 現状を問診や観察で把握します。

2、レントゲン検査 骨の状態を観察します。

3、血液・尿検査 骨代謝マーカーでどれくらい骨がつくられたり、壊されたりしているかを調べます。

4、骨量検査 腰椎や大腿骨の骨の密度を調べます。

5、MRI・CT検査 骨折の有無や脊髄の圧迫状態、その他の疾患との鑑別のために使用します。

6、骨シンチグラフィー 最近、骨シンチという名称でよく聞くようになった検査法です。 放射性の薬品を注射し、全身に広がった(2時間から3時間)ところで撮影を行う機械です。がんが骨転移しているか判断するために使われることが多いですが、骨の変性がない骨折などを早期に発見できるため、骨粗しょう症の診断でも使われるようになってきています。

 

 

骨粗しょう症の治療方法

骨折は、日常動作(ADL)やQOL(生活の質)を大きく低下させます。また、要介護や寝たきりになる原因にもなります。骨粗しょう症治療の最大の目的は、骨折を予防することです。骨粗しょう症の診断は、問診、身体検査、血液・尿検査、レントゲン、骨密度検査など、さまざまな診断結果をみて判断します。 特に椎体骨折の症状がみられる場合は、骨粗しょう症を疑います。 骨粗しょう症の治療には、食事療法、運動療法、といった生活習慣の改善と薬物療法を組み合わせて行われることが一般的で、すべてが重要な治療方法になります。

 

食事療法・・・骨を強くするために、栄養バランスの良い食事を心がけます。

運動療法・・・骨密度を増加させたり筋力を増加させることが期待できます。

薬物療法・・・骨折リスクを低下させるさまざまな薬があります。

 

これらの治療法は即効性がないため早期に始め、しっかり継続することが骨粗しょう症改善につながります。

 

【食事療法】 特に、骨の強化に欠かせないカルシウム、カルシウムの吸収を助けるビタミンD、骨を作るのに重要なビタミンK、それ以外にも野菜や果物、タンパク質などをバランスよく摂ることが大切です。

 

【運動療法】 運動による適度な刺激により、骨密度は増加します。また、バランス運動やストレッチなどで筋力をつければ骨折の原因である転倒予防にもつながります。

 

【薬物療法】 骨粗しょう症の薬には、骨吸収を抑制する薬と骨形成を促進する薬の2種類あります。骨粗しょう症の程度に合わせて決められた量の薬を服用しないと骨折防止効果がありません。また、薬を飲むのを途中で止めてしまうと、症状の悪化を助長します。医師・薬剤師の指導に従い、継続的に服用することを心掛けなければいけません。

 

 

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