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スタッフブログ 2018.07.08
鼠径(そけい)ヘルニアとは
いつも結城病院スタッフブログを読んでいただいて、ありがとうございます。
今日は鼠径(そけい)ヘルニアのお話です。
足の付け根の鼠径部(そけいぶ)に発生するヘルニアのひとつです。
腹腔内のさまざまな内臓が、筋肉のない部位の穴から脱出してくる病態です。
腸管が脱出しやすいため、俗に「脱腸」と呼ばれます。
新生児から高齢者まで、老若男女を問わず誰にでも発生します。
自然に出たり戻ったりを繰り返すうちはよいのですが、飛び出した腸が引っかかって嵌頓(かんとん)状態になると腸の内容が停滞し、ガスや便が出なくなります。
やがて腹痛や嘔吐といった腸閉塞の症状が現れ、嵌頓した腸を整復できないときは緊急手術が必要です。
腸の血流が途絶えて壊死(えし)に陥ると、腸に穴が開いて腹膜炎をおこし、生命にかかわる事態になります。
ときに重篤になる疾患ですので、ただの脱腸と軽く考えるのは危険です。
内服薬では治らないので、手術(ヘルニア修復術)で穴を塞ぐことをお勧めします。
鼠径ヘルニアに対する手術は100年以上前からさまざまな方法で行われてきました。
鼠径部の解剖や術式には多くの外科医の名前がついており、先人たちの苦労の歴史がうかがえます。
19世紀後半から行われてきたのは、筋肉と靭帯を縫い合わせて穴を塞ぐという方法でした。
この方法には、縫った筋肉が裂けやすいうえに、うまく穴を塞げないことがあるため、再発が多いという欠点がありました。
最近は丈夫で体になじむ素材の人工の膜を使って修復するのが主流です。
当院では、鼠径ヘルニアに対して約20年前から腹腔鏡による修復術に取り組み、2018年5月までに350例を超えました。
従来法の鼠径部を切開する前方アプローチでは、約5cmの皮膚切開が必要です。腹壁が厚い症例では術野が狭く、ヘルニアの穴が分かりにくいときには修復が不確実になります。
腹腔鏡手術は、臍周囲に2cm程度と下腹部2か所に5mm程度という小さな切開創で行います。
内側から鼠径部全体を大きなモニタ画面で観察できるため、様々な部位のヘルニアを確認できます。
同じ傷から左右のヘルニアを同時に修復することも可能です。
全身麻酔のために入院が必要ですが、痛みが落ち着けば早期に退院して、元の生活や仕事への復帰が可能です。
日本外科学会・消化器外科学会の専門医・指導医および、内視鏡外科学会の技術認定医などの資格を有する外科医が熟練の技を駆使します。
他の施設で手術して再発した症例も引き受けています。難しいとされる下腹部に手術創のある症例も積極的に手掛け、手術成績を解析した論文はSurgical Endoscopyという欧米の英文医学雑誌(インパクト・ファクター:3.747)に掲載されました。
鼠径ヘルニアにお悩みで、手術にもう一歩踏み切れない方は、是非一度 結城病院の医師に ご相談ください。