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  1. 消化器系
鼠径ヘルニア(脱腸)とは

鼠径(そけい)ヘルニアとは、昔から脱腸(だっちょう)と呼ばれている疾患です。鼠径部とはお腹の下側、足の付け根の少し上の辺りのことです。
体の表面から見ると鼠径部や陰嚢が膨らんで見えます。薬物療法はなく、手術でしか治療は望めません。また放置しておくと、大きくなってしまったり、血流障害を起こしてしまう嵌頓(かんとん)状態になって緊急手術になったりします。
患者様の8~9割が男性であり、特に40歳以上の方が罹患しやすいとされています。成人男性の3人に1人が発症すると言われている疾患です。発症していても、男性の場合、陰嚢(いんのう)内に脱腸が起こることもあるため、ご本人が「そけいヘルニア」だとういうことに気づいてなかったり、デリケートな部分のため病院に行くことをためらっている方も多くいます。また、お腹に力が入ったり、立ち仕事に従事している方、便秘、肥満、喘息等もかかりやすい要因と言われています。

 

 

 

鼠径ヘルニアの症状

鼠径ヘルニアの初期症状は、立った時とかお腹に力を入れた時に鼠径部の皮膚の下に腹膜および腸の一部などが出てきます。指で押さえると引っ込みますが、軽い痛みをともなうことがあります。男性では陰嚢が腫れることがあります。膨らみは立ち上がったときや腹圧を加えたときに脱出しますが、横になって手で押すと、腹腔内に戻すことができます。立ち仕事などで、腹部や鼠径部に重苦しい痛みや不快感を感じることがあります。
膨らみが固くなり、激痛となり、手で押さえても還納できなくなる場合は嵌頓(かんとん)という状態です。嵌頓をおこすと、脱出した小腸などが血行障害により壊死して重篤な状態になり、緊急手術が必要となる場合があります。
鼠径ヘルニアは、先天性のもとの、大人になってから鼠径部の組織が年をとるにつれ弱くなることが原因によって発症するものがあります。

 

 

 

鼠径ヘルニアの治療

大人の鼠径ヘルニアが自然に治ることはなく、手術によって治療します。
皮膚を切開してヘルニアの袋(ヘルニア嚢)を処理する鼠径部切開法(前方アプローチ)と、腹腔鏡(内視鏡)をお腹の中に挿入して処置を行う腹腔鏡手術があります。

 

鼠径部切開法では、患側下腹部を6~8cmほど切開し、ヘルニア嚢を根部でしばったあとに、腹壁の筋膜を縫い合わせてヘルニアの出口をふさぐことにより、ヘルニアの再発を防ぐものです。この治療では、術後、足の付け根のつっぱり感がしばらく続くのが難点です。また、年をとるとともにさらに筋肉組織が弱くなりヘルニアが再発することがあります。ヘルニアの出口を塞ぐとともに腹壁の補強ができる人工の補強材(メッシュプラグ)を使った手術も行われています。この方法では、腹壁が弱くなってきても人工材の補強があるので術後のヘルニアの再発が起こりにくいと言われています。また、術後の痛みが少なく、入院期間も短期間で済みます。

 

 

 

腹腔鏡を使った手術

お腹に5~10mm程度の穴を3ヶ所開け、腹腔鏡を使って手術します。手術後の痛みが少なく早く元の生活に戻れることなどが特長です。通常、全身麻酔下で行ないます。また、嵌頓している場合は緊急開腹手術が必要となります。

 

当院では、腹腔鏡下鼠径ヘルニア修復術について、20年以上の実績を持ち、多数の症例経験に裏打ちされた安定した手技にて本手術の施行にあたっています。

腸閉塞とは

腸閉塞とは、小腸や大腸が何らかの原因で詰まってしまうことです。腸の内容物が停滞してしまい、腸管が拡張し、腹部膨満感や腹痛を生じます。
腸閉塞には、単純性、複雑性、機能性があります。

 

手術後の癒着が一番多い単純性腸閉塞は、腸管の閉塞のみで、血行障害はないものをいいます。最もよくある 原因は、腹膜炎や腹部の手術後に起きる癒着(腸と腹腔壁や、腸同士がくっつく)がもとで、腸管が曲がったりふさがったりするものです。近年は、進行大腸がんによる大腸イレウスが増加傾向にあります。まれですが、寄生虫や胆石など外からの異物が、閉塞の原因となることもあります。
 症状は、消化管の運動にともなう周期的・間欠的な激しい痛みです。痛みは徐々に強まっていき、腹部が膨張するにつれて、聴診器を当てるとキンキンと響く 金属音をともなうようになります。小腸上部での閉塞のほうが小腸下部での閉塞より痛み方がやや強い傾向があります。

 

複雑性腸閉塞とは、腸管が癒着したり、索状物(癒着でできるヒモ)で締めつけられたりねじれたり、腸管に栄養を送る血管がつまったり(腸間膜動脈血栓症)して、血行障害を起こしている腸閉塞で、緊急手術が必要です。
 血液が腸に十分送られないため、腸が壊死して穴があいたり、敗血症(血液が細菌に感染して全身に損害を与える)や、多臓器不全になったりする原因になります。
 複雑性イレウスの腹痛は急激に始まりどんどん増強します。腹部の膨満は目立たず、腸管全体がまひします。ねじれて締めつけられた部分が硬いこぶのように なり、押すと痛み、触診でわかることがあります。壊死が進むと、おなか全体に腹膜炎が起こり、危険な状態に陥るため、緊急手術が必要となります。

 

機能的等閉塞とは、一部あるいは広範囲に、腸管が麻痺や痙攣を起こし、内容物の流れが止まった状態です。麻痺性腸閉塞は腹膜炎や、血液中の電解質異常、各種中毒症が原因で起こります。痙攣性腸閉塞は、局部的な炎症や結石発作による腸管への刺激で腸管をコントロールする自律神経の異常が原因で起こります。

 

 

 

腸閉塞の症状

腸管の内容物が停滞するため食欲不振、腹部膨満感、吐気、嘔吐が起こります。また排便や排ガスが見られなくなり、腹部全体の痛みが起こります。
機能性イレウスでは腹痛はあっても軽度です。腸が完全に閉塞すると重度の便秘が起こりますが、部分的な閉塞であれば下痢が起こります。

 

 

 

腸閉塞の治療

腸閉塞の治療の第一選択は、禁飲食と点滴による全身管理となります。口から水分や食事を補給するのは、病態を悪化させるだけで改善につながりません。禁飲食と点滴による水分・電解質の補給が必要となるため、通常は入院治療をおこないます。軽度であればこのような保存的治療にて軽快されます。腸管拡張が高度であれば、禁飲食、経鼻胃管やイレウス管を留置し、減圧を行ないます。
保存的治療が無効、閉塞原因が大腸がん等、もしくは術後癒着等で腸閉塞を繰り返している場合は、手術を検討致します。

 

 

 

腸閉塞の予防

腸閉塞の予防法は暴飲暴食を避け、消化の良いものを食べ、規則正しく食事や排便をして体のリズムを保つことが大切です。腹部が張ってきて痛む時や、ガスや便が出にくいなどの症状がでてきた場合は、食事の量を少なくするなどして腸の負担を軽くすることが必要となります。また、腸の動きを良くする漢方薬の大建中湯(だいけんちゅうとう)や六君子湯(りっくんしとう)、四君子湯(しくんしとう)などが腸閉塞の予防や症状緩和に有効と言われています。
食事で控えていただきたいのは、油分が多い食事、玄米、ラーメン、こんにゃく、硬い繊維の野菜(レンコン、タケノコ、ゴボウ)等消化の悪い食材、揚げ菓子やチョコレート等です。詳しくは、当院の管理栄養士までお問合せください。

胆石症とは

胆石とは、存在部位によって胆のう結石・総胆管結石・肝内胆管結石などに分類され、日本でも老齢人口の増加や、食生活の欧米化に伴い増加しています。胆石症は腹痛や発熱を伴い、時には重症となり、生命に関わることもあります。
胆のうは肝臓にできた胆汁という消化液を一時的に蓄え、濃縮する働きをしています。そして、食事をした際にこれを胆管に押し出して消化を助けます。この胆汁にはコレステロールや胆汁酸といわれるものが含まれ、コレステロールの割合が増えて結晶化が起こり、さらに胆のう粘膜から分泌される蛋白物質が接着剤のような働きがあり、徐々に石になってゆきます。これをコレステロール結石といいます。胆石の大きさは、砂粒くらいから小石ほどのものまであり、数も2〜3個から、時には100を超える場合もあります。これらの胆石が原因で、腹痛・発熱・黄疸などの症状を起こすことがあります。
胆のう結石は全体的に男性が多く、日本胆道学会の調査によると、最も多いのが胆のう結石78%、次いで総胆管結石が21%、肝内結石が1%でした。一般的に胆石症というと最も多い胆のう結石症を指します。
胆石は、コレステロールやビリルビンという胆汁の色素が固まってできる結石です。胆汁には腸内で脂肪の消化・吸収を助ける役割があり、肝臓で作られた後、一旦、胆嚢に蓄えられます。そして、食事を取るとホルモンの作用によって胆嚢が収縮し、放出された胆汁は総胆管を通って十二指腸に送り込まれる仕組みとなっています。
胆石による痛みが食後出やすいのは、胆汁を十二指腸に送ろうとした際、結石が胆嚢の出口や総胆管の出口で引っ掛かって胆汁の流れをふさぎ、胆嚢や胆管の内圧が上昇すると考えられています。

 

 

 

胆石症の症状

胆石症の症状として特徴的なのは、胆道痛という特徴的な腹痛があげられます。また、みぞおちや右あばら骨の下側のほか、右肩、背中に痛みを訴える人もいます。また、発熱、悪心・嘔吐、黄疸が報告されています。血液検査では、胆のう結石症では、胆のう炎の併発がないと異常が出ることは少ないですが、総胆管結石では肝機能障害を伴うことが多く見られます。胆のう摘出術を行なう前に総胆管結石の有無を検討しておく必要があり、画像診断と共に肝機能検査を行なう必要があります。一方で検診時や他の病気の検査時にたまたま胆石が見つかる無症状の場合は、胆石がある患者様の約24%を占めます。胆石症は、時として重症となり生命に関わることもあるため、早期発見・合併症の予防が重要となってきます。

 

 

 

胆石症の治療方法

胆石症の治療は、無症状(痛みがない場合)は、経過観察します。しかし、将来的に痛みを発症する危険性は、胆石の数、胆石の大きさ、年齢などにより異なります。
胆石の治療法としては、ウルソデオキシコール酸(UDCA)を主成分とする経口利胆剤を内服する治療がありますが、胆石の完全除去には至らないため、胆管炎の予防目的に処方されることが多いです。
治療は、腹腔鏡下胆嚢摘出術が主流となっており、腹部を切り開く開腹手術は全体の30%ほどです。腹腔鏡下胆のう摘出術は、腹部に4カ所程度の小孔をあけ、腹腔鏡や器械を挿入し、炭酸ガスを満たした腹腔内をモニターに写して、胆のうを肝臓からはがし、胆嚢管や胆嚢動脈を特殊金属クリップではさみ、切断し、胆のうを体外へ取り出す手術です。この手術は、創が小さく目立たない、痛みが少ない、早くから社会復帰が出来るなどの利点があります。しかし、炎症のひどい症例、腹腔鏡の手術が困難と予想される症例には、開腹の手術に移行することあります。

 

胆嚢摘出術では胆嚢をすべて摘出します。胆嚢結石は再発しやすく、また胆嚢がんを発生しやすいと言われています。因果関係ははっきりとはしていませんが、胆のうがんの患者様の約60%に胆石が見つかるといわれています。

 

 

 

胆石症の予防

食事時間が不規則になると、胆のうから胆汁が出されるタイミングも不規則となり、胆汁がたまりやすくなり、胆石を生成しやすい原因になるといわれています。食事は一定の時間に一定量を、1 日 3 食とるといった規則正しい食生活をする事によって、胆汁濃度を一定に保ち、胆石の生成を予防する事につながります。
※詳しくは当院管理栄養士までお問合せください。

感染性胃腸炎とは

感染性胃腸炎とは、主にウイルスなどの微生物を原因とする胃腸炎の総称です。
原因となるウイルスには、「ノロウイルス」、「ロタウイルス」、「サポウイルス」、「アデノウイルス」などからの経口感染によって起こり、主な症状は腹痛、下痢、嘔吐、発熱などの症状をきたします。
「ロタウイルス」、「アデノウイルス」による胃腸炎は、乳幼児に多く見られます。これらの胃腸炎は、症状のある期間が比較的短く、また、ウイルスの種類によって異なる治療が行われることも通常はないため、ウイルス検査を行うことなく、流行状況や症状から「感染性胃腸炎」として診断されることがあります。ノロウイルスによる感染性胃腸炎は、人から人へ感染する場合と、汚染した食品を介しておこる食中毒に分けられます。
合併症としては、脱水と電解質異常で、二次的に急性腎不全、ショック、重症不整脈などが起こることもあります。

 

 

 

感染経路

感染した人の便や吐物に触れた手指を介して、ウイルスが口に入った場合やウイルスを取り込んだカキやシジミなどの二枚貝を生で又は不十分な加熱処理で食べた場合などが考えられます。また、感染した人が十分に手を洗わずに調理した食品を食べた場合や、感染した人の吐物やふん便が乾燥して、細かな塵と舞い上がり、その塵と一緒にウイルスを吸い込んだ場合が、感染経路となります。
ウイルスや細菌が体内に入ったとしても、感染する人と感染しない人がいます。それは感染症の抵抗力となる免疫力が違うからです。免疫力が弱っていれば、体内に入ってくる細菌が悪さをするのを止められず、胃腸炎を発症してしまいます。

 

 

 

感染性胃腸炎の治療

対症療法が中心となります。脱水を防ぐために、水分補給をしっかり行ない、消化に良いうどんやお粥などを摂取し、きちんと休養をすることです。
下痢の場合は、整腸剤、吐気や脱水に対しては、吐き気止めや点滴を行ないます。下痢が続く場合は、下痢止めは使用せずに整腸剤などの薬剤を使って胃腸の調子を整え、胃腸内に留まっている細菌やウイルスの排出を促していきます。
原因となっている細菌やウイルスによって異なりますが、短くて2~3日、長くて1週間程度で回復します。症状がなくなっても、便の中には1週間ほどウイルスが排泄されますので、感染予防はしっかりと行ないましょう。

 

 

 

感染予防のポイント

手洗いをきちんと行うことが大切です。特にトイレの後、調理や食事の前には、その都度、石けんと流水で十分に手を洗いましょう。
吐物やふん便は、次亜塩素酸ナトリウム(塩素系の漂白剤)を使用し、適切に処理しましょう。吐物やふん便を処理する際は、使い捨ての手袋、マスク、エプロンを着用し、処理後は、石けんと流水で十分に手を洗いましょう。

慢性腸炎とは

慢性腸炎とは、腸がいつも炎症を起こしている状態の疾患のことです。急性腸炎と似ていますが、何らかの原因で腸粘膜の炎症が慢性化したものです。原因は多様ですが、細菌・ウイルス感染、自己免疫、ストレス、生活習慣の乱れなどが考えられています。日頃の食生活の暴飲暴食、また、ストレスなどによっても引き起こされることもあり、急性腸炎の不十分な治療によってもなることもあります。また、胃や内臓の病気で腸が刺激されるなどが、主な原因とされています。
慢性腸炎の症状として主要なものは、比較的長期にわたって、腹痛・血便および下痢などの便通異常が続きます。腹痛は差し込むような強い痛み、臍周辺に鈍痛がでます。ただし、この症状を伴っても慢性腸炎ではなく過敏性腸症候群(IBS)や吸収不良症候群のこともあります。
他にも、お腹の不快感・ガスが溜まってお腹が張る・下腹部の痛み・食欲不振・倦怠感といったものが出ることがあります。
その他、腸の炎症がある疾患として、潰瘍性大腸炎やクローン病があります。腸の粘膜や腸壁に炎症を起こし、下痢と腹痛があります。潰瘍性大腸炎は大腸粘膜にビランや潰瘍ができ、便に粘液や血が混ざります。
クローン病はすべての消化管に発症しますが、最も腸に多く潰瘍が出来たり、腸管に狭窄(きょうさく)が起こります。また、発熱、貧血、体重減少がみられ、お腹が張って、ガスが溜まることがあります。これらの症状が長期にわたることもあります。

 

 

 

慢性腸炎の治療

原因が明らかでない場合が往々にしてあるので、対症療法が中心となります。下痢が続いている時は、下痢止めや漢方薬を服用する治療法で下痢を治すことが出来ます。
感染性腸炎では抗菌薬、非感染性腸炎のときは副腎皮質ステロイド薬を使うこともあり、原因によって治療法が異なるため医師による診断が必要です。細菌感染によるものであれば抗生物質などを使用し、狭窄や瘻孔(ろうこう)を形成している場合は手術が必要になりますが、基本的には対症療法とストレスを溜めないように心掛けます。また、た、生活習慣の見直し、改善が必要です。

 

食事療法としては、治療期間が長期にわたるので、体力保持のため栄養補給に注意する必要があります。糖質や蛋白質は一般に消化吸収が良好なため積極的に摂る必要があります。繊維の多い食品は腸内細菌の作用によって発酵を起こし下痢を憎悪させる場合があります。また、脂質は下痢を憎悪させる恐れがあるので、魚、肉などの蛋白質は脂肪の少ないものを選びましょう。冷たい飲食物、アルコール、炭酸飲料、刺激物などは腸を刺激し下痢を悪化させるため避けましょう。

胃腸炎とは

胃腸炎とは、胃や腹部の痛み、吐気、嘔吐、下痢等の症状が起こることを言います。通常、胃腸炎の原因は細菌やウイルスによる感染することで起こりますが、毒性の化学物質や薬の摂取が原因となることもあります。また、発熱することもあり、頭痛や倦怠感を伴うこともあります。一過性のものが多く「急性胃腸炎」といいます。
通常、健康な成人で胃腸炎が重篤となることはありませんが、病気にかかり衰弱している人、年少または高齢の人では、脱水や電解質のバランスの不具合が起こり、生命を脅かすことがあります。
「ロタウイルス」、「アデノウイルス」による胃腸炎は、乳幼児に多く見られます。これらの胃腸炎は、症状のある期間が比較的短く、また、ウイルスの種類によって異なる治療が行われることも通常はないため、ウイルス検査を行うことなく、流行状況や症状から「感染性胃腸炎」として診断されることがあります。ノロウイルスによる感染性胃腸炎は、人から人へ感染する場合と、汚染した食品を介しておこる食中毒に分けられます。感染経路としては、感染した人の便や吐物に触れた手指を介して、ウイルスが口に入った場合やウイルスを取り込んだカキやシジミなどの二枚貝を生で又は不十分な加熱処理で食べた場合などが考えられます。また、感染した人が十分に手を洗わずに調理した食品を食べた場合や、感染した人の吐物やふん便が乾燥して、細かな塵と舞い上がり、その塵と一緒にウイルスを吸い込んだ場合が、感染経路となります。
ウイルスや細菌が体内に入ったとしても、感染する人と感染しない人がいます。それは感染症の抵抗力となる免疫力が違うからです。免疫力が弱っていれば、体内に入ってくる細菌が悪さをするのを止められず、胃腸炎を発症してしまいます。

 

 

 

胃腸炎の原因

胃腸炎の原因では、細菌性、ウイルス性、毒素型等があります。
細菌性の胃腸炎は、サルモネラ菌(卵、鶏肉等)、病原性大腸菌(牛肉等)、カンピロバクター菌(豚肉・鶏肉)などがあり、夏季に多く認めます。

 

ノロウイルス、ロタウイルス、アデノウイルスなどのウイルス型の胃腸炎では、冬に流行しやすく、乳幼児では重症化しやすいです。ノロウイルスは12月にピークとなり、次いでロタウイルス2~3月にピークとなります。患者の75%が10歳未満の小児とされています。ロタウイルスに関しては2011年からワクチンが承認され、その予防効果が高いことからロタウイルス接種は推奨されています。

 

黄色ブドウ球菌(おにぎり)、ボツリヌス菌等の毒素型は、食後2~24時間に発症します。吐気、嘔吐、腹痛、下痢などの症状を認めます。通常、吐き気や嘔吐など口に近い側の症状が突然現れることから、急性胃腸炎は発症します。その後、時間経過と共に、下痢や腹痛など肛門側に近い症状が現れるようになります。

 

 

 

胃腸炎の治療

治療は、ウイルス性のものでは対症療法が中心となります。食中毒の一般的な予防方法を励行することと、 水分・糖分・ミネラルを適切に摂取しながら、脱水を避けることが治療の第一目標になります。口からの水分が充分摂取できず、脱水の程度が強い場合には、点滴を行ないます。水分摂取や下痢の症状をサポートする目的で、制吐剤や整腸剤が処方されることもあります。ビフィズス菌やそれを増やす作用の菌製剤は、病原細菌の増殖を抑える働きがあり、治療によく用いられます。脱水に気をつけ、水分補給をこまめに行います。
また、症状や合併症の有無などを適宜判断しながら、抗生物質が必要かどうかを判断します。

 

 

 

感染予防のポイント

手洗いをきちんと行うことが大切です。特にトイレの後、調理や食事の前には、その都度、石けんと流水で十分に手を洗いましょう。
吐物やふん便は、次亜塩素酸ナトリウム(塩素系の漂白剤)を使用し、適切に処理しましょう。吐物やふん便を処理する際は、使い捨ての手袋、マスク、エプロンを着用し、処理後は、石けんと流水で十分に手を洗いましょう。

痔の種類

痔とは肛門や肛門周辺に起こる病気の総称です。日本における痔の罹患者は3人に1人ともいわれており、大病的な病気の一種です。痔の代表的な病気には、おしりの血行が悪くなり、血管の一部がこぶ状になった状態の痔核(イボ痔)、硬い便によって肛門付近が切れたり裂けたりしている状態の裂肛(切れ痔)、細菌が入り込んで感染し、膿が外に流れ出るトンネルが出来た状態の痔瘻の3種類があり、痔核はさらに内痔核と外痔核に分かれます。
痔の中で一番多いのは痔核で、男女とも5割ぐらいは痔核です。裂肛、痔瘻については残りの半分ずついると言われています。

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原因

・下痢・便秘
・排便時間が長い
・トイレのいきみが強い、いきみのくりかえし
・長時間同じ姿勢をとる
・暴飲暴食、アルコールの過剰摂取、香辛料のとりすぎ、食物繊維不足
・妊娠や出産
・ストレス

など日常生活が原因でおきる病気の1つです。

 

 

 

症状

痛みはほとんどなく、排便した時に血が出る、肛門から痔核が外へ出て初めて気づく人が多いです。なぜなら外痔核は痛みを感じる神経のある皮膚の部分にできるので痛みを伴いますが、内痔核は痛みを感じる神経のない粘膜にできるからです。
痔核が脱出しても排便が終われば戻る状態から、常に痔核が脱出して指で押さなければ戻らなくなります。最終的には指で押しても戻らなくなります(嵌頓痔核)これは痛みを伴います。また症状の度合いによってⅠ度~Ⅳ度までで分類されますが、内痔核もステージが進んでくると、肛門外に脱出し、裂肛(きれ痔)や外痔核を伴うようになります。

 

 

 

痔核の治療方法

【保存療法(保存療法)】
 Ⅱ度まではこの方法が一般的です。
・辛いもの、アルコールなどの刺激物は控える
・食物繊維や水分をしっかりとる
・トイレで強くいきまない(5分以内)
・長時間の座りっぱなし、立ちっぱなしはやめる
・手軽にできる運動を、毎日行う
・ストレスをため込まないようにする
つまり、日常生活を変える必要があります。

 

【保存療法(薬物療法)】

●内服薬
出血・痛み・腫れなどの症状を抑えるお薬や便をやわらかくするお薬などがあります。

 

●外用薬
坐薬や軟膏などは、出血や痛み、腫れなどの症状を抑え、また便をスムーズに出すための潤滑油の役割を果たします。

 

[ステロイド系]:効き目の強い薬で、炎症や痛みを抑える。激しい痛みがあるときによく使われます。

[ビスマス系]:止血作用があるため、出血がひどいときに用いられます。即効性がありますが、効き目が強いので、使用時は医師の指示に従ってください。

[その他]:作用は弱めで即効性は少ないですが、その分副作用がないので長期間使うのに適しています。

 

【外科的療法】

●注射療法
①硬化療法【ALTA療法(ジオン注射)】
切らずに治す痔の治療法で、注射で痔核内に薬品を投与することで痔核を固めて小さくし、脱 出と出血症状を改善します。ひとつの痔核に対して4か所に分割して投与する特殊な治療法のため、決められた手技の講習会を受講した専門医でなければ治療を行えません。

 

②フェノールアーモンド
切らずに治す痔の療法で1箇所の痔核につき約2~5ml注入します。効果は速効性で出血はすぐに止まります。しかし持続期は、ほぼ 3~6ヶ月前後です。脱出症状への効果は薄いです。

 

●ゴム輪結紮療法
内痔核にゴムをかけて、血流を遮断し、壊死させてしまう方法。内痔核には神経がないため、痛みはなく、1~2週間で痔核が収縮し、ゴムは便と一緒に排出されます。外痔核には向きません。

 

●結紮切除術
外科的に痔核を切り取ります。術後しばらくは排便時に痛みがありますので、安全のため10日前後の入院を要する施設が多いようです。最も柔軟に対応できる治療法の1つです。

 

●痔核根治術(PPH)
外科的に特殊な器械を使いたるんだ粘膜を環状に切除して再度縫いあわせます。痔核が広範囲に脱出していて、切除が困難なときでも対応できます。ですが、外痔核の場合は、痛みが伴うため適応は難しいです。

 

 

 

最後に

日常生活を注意することで痔はかなりよくなります。ただし、痔の出血だと思い込んでいたものが、診察によって実はがんだったということもあります。定期的な健康診断を受け、ちょっとでも異常を感じた場合は自分で判断せず、医療機関で診療を受けましょう。それが、根治への一番の近道です。

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