常勤医師募集中

0296-33-4161

  • 標準
  • 大

  1. 泌尿器系
前立腺とは

前立腺は男性特有の臓器で、精液の一部を作っています。大きさはクルミほどで、膀胱の下にあり、尿道を取り囲むように存在しています。また、直腸と隣接しているため、発症すると排便や排尿機能に影響を及ぼしやすいです。

 

 

前立腺がんとは

前立腺がんは、アメリカでは罹患者数が1位、死亡者も2位ともっとも多いがんのひとつです。日本においては、罹患者数は増加傾向にありつつも、治療成績は高いため死亡率はそれほど高くなく、全体のがん罹患者のうち死亡率は5%ほどです。増加の要因としては、加齢に伴う要因が大きいので平均寿命が延びていることが前立腺がん患者数の増加要因の1つですが、検査精度があがり早期のがん発見数が伸びているからとも言われています。発症は60歳ぐらいから急増し、加齢に伴って発症率も増加します。また骨盤のリンパ節や骨に転移しやすいがんです。

 

 

発生要因

前立腺がんの発生要因としては、飲酒、喫煙、食の欧米化に伴う高たんぱく・高脂質の過剰摂取、加齢と言われます。

 

 

症状

初期症状はほとんどありません。

 

検査・診断

前立腺がんの検査は主に、血液検査、触診、画像診断、組織検査に分けられます。

【血液検査】
●腫瘍マーカー
PSAの測定が有用です。画像診断や組織診断を行うかどうかの判断をしたり、治療効果の測定などができます。

 

【触診】
古くからおこなわれている診断方法です。前立腺は直腸と隣接していますので、直腸を触診します。

 

【画像診断】
●MRI
近年急速に進化している検査方法で、ある程度の精度で前立腺がんを発見できます。

【組織診断】
局所麻酔(腰椎麻酔)、や全身麻酔を行い、エコーで見ながら組織を採取します。採取した組織を顕微鏡で観察し、がんの有無やがんの悪性度を判断します。

 

 

治療方法

外科的治療(手術)

前立腺がんに対して手術を行う場合は、ほかのがんとは違い基本的に部分切除ではなく、前立腺全摘除術になります。小さな臓器なので部分的に切除するのが難しいことと、全摘出しても命に関わりがないということが理由として挙げられます。一般的には周囲のリンパ節も予防的に摘出します。

今後はロボット支援下内視鏡手術が増えていきます。

 

放射線療法

●放射線療法
多くの場合、ホルモン療法と並行して行われます。一般的ながんとどうような治療方法もありますが、前立腺がんの場合、小線源療法という独特の方法があります。放射線を出す物質を小さなカプセル状のものにつめ、前立腺の中に入れて、体内から照射する方法です。病変した組織の近くに留置できるため非常に高い線量を照射することができます。また重粒子線による治療も行うことができます。

 

内分泌療法(ホルモン療法)

【内分泌療法】
前立腺がんは男性ホルモンで病気が進行する性質があるため、ホルモンの分泌、働きを抑制する薬によって前立腺がんの進行を抑える方法です。

 

化学療法

【抗がん剤】
内分泌療法で効果が効かなくなった場合に行われます。前立腺がんの抗がん剤治療の場合、がんの根治をめざすわけではなくがんの増殖や痛みを抑える消極的治療方法になります。

尿が出ない・量が少ない

健康な人の尿量は、気温や水分摂取量にもよりますが、成人男性で平均して1500ml、女性で 1200mlですが、これが 400ml以下に減ると、乏尿と言います。また、乏尿よりもさらに尿量が低下し、50ml以下になった状態を無尿といいます。乏尿の原因は、腎炎、ネフローゼあるいは心不全などが考えられます。 無尿とは、腎臓で全く尿が作られない場合や、何らかの原因で尿が生成されなくなったことです。大量出血、ショックなどで血圧低下などがあると尿が生成できないことを、腎前性無尿と言います。薬物や腎毒性物質などで腎臓が尿生成できなくなったことを、腎性無尿といいます。

 

 

尿が出ない・出にくいなどの原因

「尿が出にくい」「尿をするのにお腹に力を入れる」といった排尿症状は、膀胱から尿道出口への尿の通過が妨げられる場合(通過障害)、あるいは膀胱がうまく収縮できない(膀胱収縮障害)場合に起こります。通過障害で最も頻度の高いものは男性における前立腺肥大症です。また、男性女性ともにメタボリック症候群に伴う膀胱の血流障害や加齢による膀胱の筋力低下、尿道狭窄といった病気が隠れている場合もあります。以下に排尿障害が主に起こる病気についてご説明いたします。

 

【前立腺肥大症】
70歳以上の男性の70%以上は前立腺肥大を有し、その約25%は治療を必要とする症状があります。前立腺肥大の症状として、頻尿(トイレが近い)、残尿感(排尿後なのにまだ残っている感じがある)、尿の勢いが弱い、お腹に力を入れないと尿が出ないなどがあります。  前立腺とは、男性だけに存在する臓器であり、膀胱のすぐ下、尿道を取り囲む位置にあり、クルミ大の大きさです。前立腺が肥大すると、尿道が圧迫され色々な排尿トラブルが起こります。  前立腺肥大の原因ははっきりとはしていませんが、食生活の欧米化や、加齢による男性ホルモンの低下によって、不足した男性ホルモンを取り込もうとして前立腺が肥大するのではないかと推測されています。そのため、前立腺肥大症は男性にとって、誰にでも起こりうる病気です。 前立腺肥大と前立腺がんは関連のない病気ではありますが、男性で排尿困難のある場合には、前立腺がんのチェック(PSAの測定・血液検査)も受けることをお勧めします。

 

【前立腺がん】
前立腺がんは50歳代から急速に増え始め、発生の平均年齢が70歳代という高齢男性にみられるがんです。前立腺がんは加齢により男性ホルモンのバランスが崩れたり、前立腺の慢性的炎症、食生活や生活習慣などの要因が加わって発生するといわれています。 前立腺がんは、初期に自覚症状がほとんどなく、がんが膀胱や尿道を圧迫して、排尿障害が起きた時にはかなり進行していることが多く見られます。そのため、前立腺がんの治療は、症状が出る前にがんを発見することが最も大切のため、定期的にPSA検査を受けることが必要です。

 

【神経因性膀胱査】
神経因性膀胱とは膀胱につながる神経が様々な原因で障害され、排尿に困難をきたす状態をいいます。 その原因としては、外傷性脊髄損傷、脳血管障害、脳腫瘍、糖尿病性神経障害、多発性硬化症、パーキンソン病、腰部椎間板ヘルニアや脊椎管狭窄などがあります。また、子宮がん、直腸がんなどの骨盤内手術による末梢神経の損傷でもおこります。

 

【尿路結石】
ショウ酸カルシウムや尿酸などが主として腎で結晶となり、それの大きくなったのが結石です。腎から出てきて尿管などにつまると腰背部に痛みを感じるようになります。

頻尿とは

頻尿とは、尿意が近い、トイレに行く回数が多い状態をいいます。人により多少変わってきますが、目安は1日8回以上、あるいは夜間に3回以上トイレに行く場合を夜間頻尿といいます。夜に頻尿の症状がでる夜間頻尿の場合、排尿のために何度も起きなければならないので、日常生活に支障をきたすことがあります。

 

 

原因

頻尿は日常生活が原因のものと病気が原因のものとがあるため原因追及が症状改善の一番の近道です。 日常生活が起因するもの

 

【緊張、ストレス】

大きな出来事(プレゼンなど)があるときによくトイレに行きたくなることがあると思います。緊張やストレスで膀胱が収縮してしまい、尿意が近くなります。回数が異常に多いということがない限り、あまり気にすることはなく、ストレス発散することなどにより改善されることがほとんどです。

 

【加齢】

年齢が上がるにつれて、膀胱の弾力性が徐々になくなって尿を溜められない、尿を濃縮するホルモン量が減ったために尿が濃縮できなくてすぐに膀胱がいっぱいになってしまうために尿が近くなることがあります。

 

【利尿作用がある飲み物の摂取】

コーヒーやお茶などのカフェインを含む飲み物や、ビールには利尿作用が優れているため、トイレが近くなる傾向があります。また、水でも飲みすぎるとトイレの回数が増えることがあります。

 

(頻尿の原因となりうる病気) 膀胱炎、尿道炎、尿道狭窄、前立腺炎、尿管結石、膀胱腫瘍、萎縮膀胱、神経因性膀胱、前立腺肥大症、過活動膀胱、子宮筋腫、子宮脱、糖尿病、脳卒中、神経損傷、尿路感染、骨盤内臓器の手術後など原因は様々です。

 

 

過活動膀胱

過活動膀胱は、膀胱が過敏になり本人の意思に関係なく収縮してしまう状態です。急に我慢できない尿意があり間に合わずに漏らしてしまう、トイレに行く回数が多い症状の場合は過活動膀胱が疑われます。膀胱に尿がそれほど溜まってないのに、筋肉が収縮して急に尿意を催し、尿漏れや頻尿を招きます。40歳以上の8人に1人が過活動膀胱の症状があるといわれていますが、年齢のせいにしたり、恥ずかしいということで受診される方は少なく、全体の約20%しか受診していないというデータもあります。

 

【原因】
神経系に起因するものそうでないもので分類されます。 ・神経因性過活動膀胱(神経のトラブルが原因) 脳卒中や脳梗塞、パーキンソン病、脊髄損傷、多発性硬化症など脳から膀胱の筋肉を結ぶ神経に障害が起きると排尿に関する信号が正常に働かなくなり、締める、緩めるの連携がうまく働かなくなり、過活動膀胱の症状が出ます。 ・非神経因性過活動膀胱(神経のトラブルが原因でない) 女性の場合は出産や加齢によって、骨盤底筋が傷んだり弱くなったりすることが原因になることがあります。そのほかにも何らかの原因で膀胱の神経が過敏に働いてしまう場合(緊張、ストレスなど)や、いくつかの原因が複雑に絡み合っていることがあります。

 

【血液検査( 腫瘍マーカー)】
膵がんがあると、血液中の膵酵素が異常値を示すことがあります、発症していることが前提になるので早期発見には不向きです。

 

【診断】
問診と診察を行います。その後、過活動膀胱スクリーニング質問票や過活動膀胱症状質問票等を用いて、診断を行います。また検査としては、エコー検査を行うことがあります。

 

【治療】
・薬物療法

自分が意図しないタイミングでの膀胱が収縮するのを抑える薬や膀胱を弛緩させて畜尿機能を高める薬を処方します。

 

・膀胱訓練

トイレに行く間隔を延ばして、膀胱の容量を訓練します。具体的には、トイレに行きたくなったら、5分我慢する。出来たら、10分我慢するといったように5分間隔で我慢できる時間を延ばしていきます。 骨盤底筋を鍛える…骨盤底筋を鍛える体操や電気治療による刺激を行います。

尿漏れとは

尿漏れとは尿失禁とよばれ、意思とは関係なく尿が漏れてしまうことと定義されています。尿失禁は症状により様々な種類があります。発症すると、いつ尿失禁が起こるか分からないため、外出を控える、おむつを履くなどQOLの低下につながります。

 

【腹圧性尿失禁】

咳やくしゃみ、重いものを持ち上げる、走る、ジャンプをする、笑うなどおなかに力が入った際に尿が漏れてしまう症状です。特に女性の4割に発症するといわれています。骨盤内で臓器を支えている骨盤底といわれるものがあり、筋肉と靭帯で構成されています。この骨盤底が出産や閉経により緩むことで発生します。筋肉と靭帯が上手く働かなくなり、尿を止める機能が壊れてしまいます。また骨盤底のゆるみがひどくなると、内臓が下におちてきて、膣から、膀胱や子宮などが出てきてしまう骨盤臓器脱は発生する場合があります。

 

【切迫性尿失禁】

急にトイレに行きたいと思っても、間に合わずに尿が漏れてしまう症状です。原因は過活動膀胱といわれています。膀胱が活動しすぎてしまう病気で、膀胱に尿がそれほど溜まってないのに、筋肉が収縮して急に尿意を催し、尿漏れや頻尿を招きます。はっきりとした原因はまだわかっていませんが、脳血管障害により発生したり、排尿を司る神経に異常が起こったりすることで発症するのではないかといわれています。他にも加齢により発症しやすいといわれています。

 

【混合型尿失禁】

腹圧性尿失禁と切迫性尿失禁の両方の症状を持つ場合に混合型尿失禁と呼ばれます。

 

【溢流性(いつりゅうせい)尿失禁】

自分で尿を出したいのに出ないのに、ちょろちょろと尿が少しずつ漏れ出してしまう症状です。一般的に男性に多く、女性には少ない病気です。男性と女性で原因が異なります。男性の場合は、前立腺肥大症や前立腺がんなどにより、尿道が狭くなったり膀胱から尿を出す力が弱くなって、膀胱に大量に溜まった尿が少しずつ溢れでてきます。女性の場合は、骨盤臓器脱が原因で尿道が狭くなり、尿が出にくくなります。

 

【機能性尿失禁】

排尿機能は正常だが、ほかの運動機能が低下することや認知症で発症します。例えば、歩行障害のためトイレに間に合わない、認知症のためトイレで排尿できないなどがあげられます。

 

 

尿失禁の検査方法

問診、診察、エコーなど基本的に体に負担の少ない検査を行います。必要に応じて、様々な検査を行います。

 

【排尿日誌】

1回の排尿量と1日の排尿量、漏れる量、排尿時間と排尿間隔を数日間記入してもらいます。どのようなときに尿失禁が起こるのか原因を推定して検査が必要かどうかを判断します。

 

【パッドテスト】

水分摂取後にパッドをあて、特定の動作や運動をします。検査前後のパッドの重量により尿失禁の重症度を測ります。主に、腹圧性尿失禁の診断に用います。

 

【チェーン造影検査】

膀胱に細い鎖のついたカテーテルを挿入し、レントゲンにて撮影します。膀胱と尿管の角度が分かり、骨盤底の状態や膀胱の位置が分かります。腹圧性失禁の診断に用い、また治療方針決定にも役立ちます。

 

【尿流動態検査】

膀胱に細いカテーテルを通し、生理食塩水を少しずつ入れて膀胱や尿道の圧力を測ります。また、尿が溜まった状態や排尿している城砦を再現して原因を見つけます。

 

 

尿失禁の治療法

尿失禁の種類や程度、重症度により治療方法が異なります。

 

【腹圧性尿失禁】

軽い場合は、骨盤底筋の訓練を行い、尿道の周りにある外尿道括約筋や骨盤底筋の強化をすることで完治が期待できます。また、肥満の方は、ダイエットをすることで症状の改善がみられることがあります。同時に尿道の緊張を高める薬を処方します。保存療法で改善が見られない場合は、手術の適応となります。TVT手術またはTOT手術と呼ばれる弱くなった組織を補強する手術を行いますが、侵襲は少ないため、体への負担はほかの手術に比べると少なく、成績も優れています。

 

【切迫性尿失禁】

基本的に薬物療法になります。また、機能訓練として排尿を我慢して、膀胱にためることができる尿の量を増やすトレーニングを行ったりします。

 

【溢流性(いつりゅうせい)尿失禁】

前立腺肥大症の場合は、そちらの治療を行います。薬物療法を行いますが、症状がひどい場合や希望される場合は、自分でカテーテルを入れて排出させる自己導尿という方法もあります。

お電話からもお気軽にお問い合わせください