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  1. 内科系
高血圧とは

高血圧は、収縮期血圧が140mmHg以上または拡張期血圧が90mmHg以上の場合を高血圧と診断します。安静時に慢性的に血圧が高すぎる状態のことを高血圧といい、高血圧になると正常の人より常に血管に負担がかかり、動脈硬化が促進され、心疾患や脳卒中などが起こりやすくなります。日本人の高血圧の最大の要因は、塩分の過剰摂取です。若年、中年の男性では、肥満が原因の高血圧も増加しています。また、運動不足、飲酒も原因とされており、メタボリックシンドロームとの関係が深いです。睡眠時無呼吸症候群でも高血圧を合併します。日本人は欧米人に比べて、高血圧から脳卒中にかかる人が、昔から多いと言われています。

 

 

 

高血圧の症状

高血圧にはほとんど自覚症状がなく、ごくまれに耳鳴りや頭痛などが現れます。気を付けなければならないのは、高血圧の患者様が頭痛や耳鳴り、胸の痛みを感じる場合、それらは高血圧の症状ではなく、高血圧の合併症である狭心症や心筋梗塞、脳卒中(脳出血、脳梗塞)の症状であるかもしれないという点です。これらの疾患は、動脈硬化に起因し、生命の危険や重篤な後遺症が残る可能性のものが多くあります。

 

・脳卒中(脳出血・脳梗塞・くも膜下出血等)
脳の血管が詰まる病気を脳梗塞と血管が破裂する病気の脳出血とくも膜下出血があります。

 

・心臓に関する疾病(心筋梗塞、狭心症、心肥大、心不全)
動脈硬化によって心臓が固くなり、心肥大が起こります。動脈硬化と心肥大によって「心筋梗塞」「狭心症」が起こるリスクが高まります。高血圧の人は健康な人と比べて心臓病になる確率が3倍になると言われています。

 

・腎機能に関する疾病(腎硬化症、腎不全、慢性腎臓病、慢性糸球体腎炎)
高血圧が続くと、腎臓の血管でも動脈硬化が起こり、血液の通り道が狭くなり、血液の流れる量が減ります。血液の流れる量が減ると、腎臓の働きが悪くなってしまいます。この状態を「腎硬化症」と呼びます。腎臓の糸球体を構成する血管が動脈硬化になると、腎機能が低下し、慢性腎不全に陥ります。

 

その他にも高血圧は、大動脈瘤や閉塞性動脈硬化症などの太い血管の疾患につながります。

 

 

 

高血圧の治療方法

高血圧の治療は、食事療養、喫煙、肥満、運動不足などの生活習慣の改善と、薬物療法を組み合わせて行ないます。降圧剤によって血圧を下げ、減塩、カロリーオフを意識した食事と適度な運動を行ない、生活習慣の見直しを行ないます。

 

 

 

高血圧の食事のポイント

1.塩分の摂取量は1日6g以下
2.カリウム、タウリン、マグネシウムを含む食品を積極的に摂取する
3.コレステロールや動物性脂肪を含む食品を控える
4.禁煙

 

※詳しくは、当院管理栄養士までお問合せください。

糖尿病とは

日本の糖尿病患者数は社会環境、生活習慣の変化に伴い、急速に増加しています。糖尿病は発症すると治癒することはありませんが、治療によりコントロールすることが可能です。また、糖尿病は放置すると、末梢神経障害、網膜症、腎症を引き起こし、脳卒中、虚血性心疾患などの心血管疾患の発症のリスクが高いことも知られています。そのため、糖尿病の予防・早期発見・合併症の予防が重要となってきます。
糖尿病にはⅠ型糖尿病とⅡ型糖尿病があります。血糖が高い状態になってしまう点は同じですが、発症の原因、症状、治療法などは異なります。

 

Ⅰ型糖尿病は、小児から思春期に発見される場合が多く、生活習慣とは関係ないと言われており、予防することはできません。また、原因は不明です。
Ⅰ型糖尿病は、膵臓のランゲルハンス島β細胞に炎症が起こり、壊されてしまう病気です。ランゲルハンス氏島β細胞は、血糖を下げるホルモンであるインスリンをつくります。しかし、ランゲルハンス氏島β細胞が壊されるとインスリンがつくられないため、血糖が高いままの状態となります。しかし、近年の研究によって遺伝因子や感染によって細菌やウィルスを攻撃する免疫が、自分自身のβ細胞を壊してしまう自己免疫疾患によるものではないかと言われています。Ⅰ型糖尿病の特徴的な症状として、多飲、多尿、喉が渇く、体重が減るなどの症状が急激に起こります。治療には、インスリン注射が不可欠です。

 

Ⅱ型糖尿病は、乱れた食生活や運動不足、肥満、喫煙などによる生活習慣や遺伝など要因によって発症します。以前は中高年の病気と考えられていましたが、最近では肥満や偏った食生活の子どもにも発症しています。

 

糖尿病には、三大合併症として知られる「糖尿病末梢神経障害」「糖尿病網膜症」「糖尿病腎症」があります。いずれも、糖尿病発症後10年前後の経過を経て、出現すると考えられています。
糖尿病性末梢神経障害とは、末梢神経(手足の先)にピリピリとした痺れや針を刺すような痛みが生じます。これは、比較的早期に症状が現れ、悪化すると、次第に胃腸の具合が悪くなったり、立ちくらみ、立ち上がることが困難になったりするなど、身体に様々な症状が現れます。
糖尿病性網膜症とは、血糖コントロールが不良の状態が長期化すると、網膜剥離や眼底出血が起こり、最悪の場合、失明に至ります。
糖尿病性腎症は、下肢の浮腫、全身倦怠感といった症状が良くありますが、かなり腎機能が低下しないと症状は現れません。また、慢性腎不全の状態になると、腎性貧血や尿毒症(神経痛、吐き気、食欲不振)慢性的に浮腫が起こるネフローゼ症候群等の症状が起こります。そのまま、腎臓機能障害が進むと、血液透析療法を導入することになってしまいます。

 

 

 

糖尿病の症状

Ⅰ型糖尿病は、特徴的な症状として、多飲、多尿、喉が渇く、体重が減るなどの症状が急激に起こります。
Ⅱ型糖尿病では、喉が渇く、多飲、多尿、倦怠感、食べていても痩せる、手足が痺れる、目がかすむ、空腹時に怒りっぽくなる、陰部がかゆいなどの症状がみられます。

 

糖尿病は自覚症状がなく進行しやすい病気です。糖尿病が進行していくと徐々に自覚症状が現れるようになり、「疲れやすい」「異常に喉が渇く」「尿の量と回数が多い」「体重減少」「足がつりやすい、こむら返りが起こる」などがあります。これらの症状を自覚した場合、すでに糖尿病が進行した状態の場合があります。気が付いたら、早めに病院に受診しましょう。

 

 

 

糖尿病の診断

健康診断では尿糖でのチェックがあります。尿糖は、血糖値が180になった場合は異常として検出可能ですが、基本的に糖尿病の診断は血糖値で行ないます
糖尿病は、血糖値とHbA1c(ヘモグロビン・エーワンシー)の値、症状を調べて、その結果から診断されます。

 

➀早朝空腹時空腹時血糖値)が126mg/dL以上
②75g経口ブドウ糖負荷試験2時間値 200mg/dL以上
③時間関係なく測定した血糖値 200mg/dL以上
④HbA1c 6.5%以上
⑤朝の空腹時血糖値 110mg/dL未満
➅75g経口ブドウ糖負荷試験2時間値 140mg/dL未満

 

➀~④のいずれかが確認された場合→糖尿病型・糖尿病の疑いありとして、別の日に再検査する。別の日の再検査で、➀~➂のいずれか確認された場合は、糖尿病と診断される。

 

➀~③のいずれかと④が確認された→糖尿病と診断

 

➄および➅が確認された→正常型

 

上記いずれにも該当しない→境界型
血糖値が正常な「正常型」と「糖尿病型」との間に「境界型」がありますが、これは糖尿病になりつつあるか、もうすでに糖尿病になっている可能性があります。それを確定するためには、ブドウ糖負荷試験が必要となります。

 

 

 

糖尿病の治療方法

糖尿病の治療は、食事療法と運動療法、薬物療法があります。

 

食事療法は、必ず行わなければならない糖尿病治療の基本です。適正なエネルギー量で栄養素のバランスの良い食事をとるようにします。
一日3食、規則正しくできるだけ均等に食べましょう「まとめ食い」は、糖尿病の悪化を招きます。主食・主菜・副菜をそろえて、栄養のバランスの良い食事をしましょう。また、適正な栄養量と栄養のバランスの良い食事をするためには、「糖尿病食事療法のための食品交換表」を使用すると便利です。

 

運動療法では、筋肉の衰えの予防だけではなく、減量効果、心肺機能の改善、血糖値の改善やインスリン抵抗性の改善にも効果があることが分かっています。特にⅡ型糖尿病では、食事療法に加えて、運動療法を組み合わせることで血糖コントロールの改善が認められています。また、効率的に内臓脂肪を減らすことが出来るので、メタボリックシンドロームの予防にもなります。
運動療法は、有酸素運動と筋力トレーニングのどちらも糖尿病の改善には有効とされています。有酸素運動では、ウォーキング、ジョギング、水泳、筋力トレーニングでは、腹筋運動や腕立て伏せなど日常生活に取り入れ、出来れば毎日継続することが望まれます。
合併症がある場合や、薬物療法を行なっている場合は、運動を制限されることもありますので、医師に相談の上、行なうようにしてください。

 

食事療法と運動療法で血糖コントロールが不良な場合、薬物療法を用います。薬物療法には、内服薬とインスリン注射があります。Ⅱ型糖尿病では、食事療法と運動療法を2~3カ月続けても血糖コントロールがうまくいかない場合、お薬による治療を開始します。
食事療法や運動療法の効果、肥満の程度やインスリン分泌量から、使用するお薬が決められます。お薬は決められた通りに服用しないと、血糖コントロールがうまくいかず、血糖値が下がらなかったり、逆に低血糖を起こすおそれがあります。必ず医師の指示どおりに服用しましょう。薬物療法では、インスリンの注射を思い浮かべる人が多いですが、たいていは飲み薬だけでコントロール出来ます。
1型糖尿病は、インスリンが非常に不足しているかまたは全くないため、この調整を自然に行うことができません。そこで、1型糖尿病ではインスリン製剤を自己注射することで体の外から補って、健康な人と同じ血糖値の変動パターンに近づけて血糖コントロールを図ります。
Ⅱ型糖尿病では、内服薬による血糖コントロールが不良な時やケトアシドーシスという状態になったとき、腎臓や肝臓の働きが悪いとき、妊娠しているときなどは、インスリン注射が必要になります。
いずれも、患者様の病状に合わせて、作用が発現する時間や持続する時間が異なる注射を組みあわせて治療します。

 

 

 

糖尿病の食事のポイント

①食事の時間は規則正しく摂りましょう。まとめて摂取すると、膵臓に負担がかかり、糖尿病が悪化する恐れがあります。
②腹八分目にしましょう。ゆっくりとよく噛んで食事することで満腹感を得られ、必要以上に食べることを防ぎます。
③塩分、脂質は控えめにしましょう。塩分、脂質を控えめにし、栄養が偏らないようにしましょう。塩分の摂取に気を付け、食物繊維を多く含む食材を意識的に摂りましょう。食物繊維には、血糖値の急激な上昇を抑える働きがありますので、野菜を先に食べると食後の血糖値が上がりにくいと言われています。
※詳しくは、当院管理栄養士までお問合せください。

肺炎とは

日本人の死亡原因の第3位である肺炎は、口や鼻から侵入した細菌が、喉から気管支を通って肺で増殖することによって炎症が起きている状態です。人口の高齢化による高齢者肺炎の増加と、これによる死亡者の増加です。肺炎は、早めに受診して、適切な薬物療法を行えば、怖い病気ではありません。しかし、高齢者の場合、特徴的な症状が現れにくいために治療のタイミングが遅れたり、慢性の病気があることが多く、早期に適切な治療を始められない場合があります。また、呼吸器に基礎的な病気がある人が肺炎にかかると、重症化しやすくなり、入院が必要になったり、命に関わるほど重症化することも珍しくありません。「肺炎かもしれない」と思ったら、早めにかかりつけ医を受診してください。

 

 

 

肺炎球菌性肺炎

肺炎の約40%が肺炎球菌による肺炎です。現在、肺炎球菌に対する予防ワクチンがあり、発症をゼロにすることはできませんが、高齢者の重症化を阻止することが出来ます。
肺炎球菌性肺炎の治療には、脾臓がとても大きな役割を担っています。脾臓は左脇腹にある臓器で、肺炎球菌は最終的にはそこで死滅します。何らかの原因で 脾臓がない方や非常に小さい方は肺炎球菌性肺炎になると命に関わるため、注意が必要です。

 

 

 

マイコプラズマ肺炎

激しい咳があるものの、比較的発熱が少ない肺炎です。一時的に一部の地域で、流行することがあります。ときどき、家族内感染も起こします。この肺炎には、マクロライド系、ニューキロノン系などの抗生剤を使用します。この肺炎は、治ったように見えても、再び症状が悪化する可能性があり、症状が治まっても2週間以上は内服を続ける必要があります。

 

 

 

レジオネラ肺炎

以前、24時間風呂との関連がマスコミでも話題となった病気で、温泉、土壌などから感染することのある肺炎です。腐葉土からの感染も報告されています。進行が早く重症化しやすく、時に死に至ることもあります。この肺炎の治療には、ニューキノロン系やテトラサイクリン系の抗生剤を使用します。

 

 

 

誤嚥性肺炎

嚥下機能の低下した高齢者、脳梗塞後遺症やパーキンソン病などの神経疾患や寝たきりの患者様に多く発生するのが、誤嚥性肺炎です。食べ物や唾液が誤って気管に入ることを、誤嚥といいます。とくに高齢者では、食べ物を噛んで飲み込む力が落ちるため、誤嚥を起こしやすくなります。さらに、気管に入った食べ物を吐き出す力も弱くなっており、肺炎の大きな原因となります。睡眠中などに唾液を誤嚥して肺炎に至る可能性もあります。
誤嚥性肺炎の治療では、口から栄養をとるのを中断し、抗生剤の点滴をおこないます。誤嚥性肺炎の予防には、(1)口の中を清潔に保つ、(2)噛み合わせをよくする、(3)睡眠時に上体を30度くらい起こす、(4)誤嚥しにくい食事内容にする、ことが重要です。

 

 

 

ウイルス肺炎

ウイルス性肺炎とは、インフルエンザウイルスやRSウイルス(主に乳幼児)など、ウイルスを原因として引き起こされる肺炎のことです。呼吸に重要な臓器である肺が障害を受ける疾患であるため、咳や呼吸困難などの呼吸器に関連した症状が出現します。

 

治療としては、原因ウイルスに対する効果的な治療薬が存在する場合には、その薬の使用が検討されます。また、解熱剤や去痰剤などを用いた対症療法も行われます。
ウイルス性肺炎の原因ウイルスは、多岐に渡ります。具体例を挙げると、インフルエンザウイルスやRSウイルス、ヒトメタニューモウイルスなどであり、気道感染を多く起こすウイルスが下気道に侵入することで肺炎を起こすことがあります。

 

肺真菌症、アスペルギルスなど真菌による肺炎は、ステロイドや免疫抑制剤使用中などの免疫抑制状態に日和見感染症として発症することが多く見られます。

 

 

 

肺炎の症状

肺炎は、風邪の症状とよく似ているため、気付かないケースが多く、その結果、重症化して亡くなることがあります。肺炎では、はじめは喉の痛みや鼻水、鼻づまり、38℃を超える発熱、咳、痰(黄色や緑色)、呼吸困難、息切れ、悪寒、全身倦怠感、や胸の痛みなどの症状が現れます。高齢者は、体力が低下していることから、こうした肺炎の典型的な症状が出ないことがあります。食欲低下、活動性の低下、歩行困難、意識障害などの症状で発症することもあるため、注意が必要です。

 

 

 

肺炎の治療

肺炎の原因となる細菌やウイルスを取り除き、細菌性肺炎の場合は、感染の悪化を防ぐために抗を使用します。
その他、さまざまな症状をやわらげるために、咳をおさえる薬、熱を下げる解熱薬、痰を出しやすくする薬、息苦しさや咳をやわらげる気管支拡張薬などが、症状に応じて処方されます。体力・抵抗力を高めるためにも、保温して安静にします。そして、水分と栄養もしっかりととるようにしましょう。

 

 

 

肺炎の予防

高齢者は、肺炎の原因となりやすい肺炎球菌ワクチンの接種できます。また、肺炎の多くは、風邪やインフルエンザにかかった後に起こります。インフルエンザの予防、うがい手洗いをしっかり行ないましょう。規則正しい生活を心掛け、十分な休養と栄養バランスのとれた食事を心がけて免疫力の低下を予防しましょう。

インフルエンザとは

インフルエンザと風邪の違いをご存知でしょうか?普通の風邪の症状は、喉の痛み、鼻汁、くしゃみや咳などが中心で、全身症状はあまり見られません。発熱もインフルエンザほど高くなく、重症化することはほとんどありません。
インフルエンザの場合は、高熱(38℃以上)、関節痛、筋肉痛、頭痛など全身に症状が見られます。その症状に加えて、一般的な風邪の症状、さらに気管支炎や肺炎を併発することにより、重症化することもあります。
高齢者は重症化しやすく、最悪の場合は死に至ることもあります。小児の場合、急性脳症を起こし後遺症が残ったり死亡例もあります。そのため、予防接種を行なうことが重要となります。

 

 

 

インフルエンザの種類

インフルエンザには原因となっているウイルスの抗原性の違いから、A型、B型、C型に大きく分類されます。このうち、大きな流行の原因となるのはA型とB型です。
A型インフルエンザウイルスはさらに144種類もの型に分けられますが、そのうち、流行しているのは、A/H3N2(香港型)と、A/H1N1(ソ連型)の2種類です。これらのウイルスはさらにそれぞれの中で、毎年のように小さい変異をしています。
B型インフルエンザウイルスは2種類(山形型、ビクトリア型)ですが、同様にその中でさらに細かい型に分かれます。これらのA/H3N2(香港型)、A/H1N1(ソ連型)、B型が同時期に流行することがあります。そのため、2種類のA 型インフルエンザと B 型インフルエンザのウイルスが、同じシーズンの中で複数流行することが多いので、A 型インフルエンザにかかったあと B 型インフルエンザにかかったりすることがおこります。

 

 

 

インフルエンザの予防

インフルエンザの予防は、ワクチンの接種です。予防接種により、インフルエンザウイルスに対抗するための抗体を作らせることができます。毎年、流行するインフルエンザを予測し、予防接種のためのワクチンが作られます。予防接種でインフルエンザウイルスの感染を完全に予防することはできませんが、インフルエンザにかかる人や、重症化して後遺症や死亡に対するリスクを減らすことが出来ます。
現在日本で使われているインフルエンザワクチンは不活化ワクチンといって、インフルエンザウイルスの感染力を失わせて人が免疫を作るのに必要な成分だけを取り出して作ったものです。インフルエンザワクチンには感染力がないので、予防接種によってインフルエンザを発症することはありません。インフルエンザワクチンは、13歳未満では2回接種します。
インフルエンザは、インフルエンザにかかった人の咳、くしゃみ、つばなどの飛沫と共に放出されたウイルスを、鼻腔や気管など気道に吸入することによって感染します(飛沫感染)。インフルエンザが流行してきたら、人混みは避けましょう。特に高齢者や慢性疾患を持っている人や、疲労や睡眠不足の人は、人混みや繁華街への外出を控えましょう。
また、空気が乾燥すると、咽頭粘膜の防御機能が低下して、インフルエンザにかかりやすくなります。外出時にはマスクを利用したり、室内では加湿器などを使って適度な湿度(50~60%)を保ちましょう。帰宅時のうがい、手洗いを心掛けるようにしましょう。

 

 

 

インフルエンザの治療

抗インフルエンザ薬は、発症してから48時間以内の治療が効果的です。できるだけ早く、インフルエンザかどうかを検査で調べることが大切です。インフルエンザの検査法として、現在、医療機関では「迅速抗原検出キット」を使う検査が行われています。鼻やのどの粘液を綿棒でぬぐった液や、鼻水(鼻かみ液)をキットを用いて検査すると、感染があるかどうかや感染しているウイルスの型が短時間(5分以内)でわかります。
ただし、症状が出る前のウイルス量が少ない時期に検査した場合や、検査する材料の採取がうまくいかなかった場合は、感染していても陽性にならないことがあります。
インフルエンザの治療に用いられる薬としては、抗インフルエンザウイルス薬があります。これは、医師がその必要性を判断して処方されます。現在使われている抗インフルエンザウイルス薬は、48時間以内に投与することで効果的に症状を抑えます。
インフルエンザのウイルスは、発症して48時間以内にもっとも増殖しますが、早いうちにインフルエンザとわかれば、薬によってウイルスの増殖を抑えることができます。ウイルスの増殖が少なければ、症状が軽くて済むだけでなく、ほかの人への感染も少なくとどめることができるのです。
それ以外には、症状を和らげる治療として高熱には解熱剤、せきには鎮咳薬(せきどめ)、たんがひどい場合は去痰薬(たんを切れやすくする)などが使われることがあります。
症状が出始めてからの時間や、病状によって、医師は一人ひとりの患者さんを診て抗インフルエンザウイルス薬を使用するかどうかを判断しますので、必ず医師の指示に従ってください。

気管支炎とは

気管支炎とは、気管と気管から枝分かれする気道(気管支)にウイルスや細菌が入り込み炎症を起こすことです。インフルエンザウイルスやRSウイルスなどへの感染やマイコプラズマや百日咳菌といった細菌、ガスや微粒子などの刺激も原因になることがあります。このウイルスや細菌の病原体を外に出すために、分泌液が痰となり、咳をして体外に排出します。症状としては、発熱、咳、痰、鼻汁など風邪症状が出ます。

 

 

 

急性気管支炎

通常、急性気管支炎は、ウイルス感染によって発生します。上気道炎症状(風邪症状)が出てから3~5日後に気管支炎が発症します。風邪の症状がみられた後に咳が出る場合は、一般に急性気管支炎を疑います。
呼吸器症状としては、強い咳(初期には乾いた咳であり、そのあと痰の絡んだような湿性咳嗽となる)、痰があり、子どもでは、もともと気管支が細いことから喘鳴(ぜいめい・息を吐く時に生じるヒューヒューという呼吸音)を伴うことも多くなります。
通常、ウイルスによる場合が多いのですが、一旦解熱したあとに再び発熱する、発熱期間が長い、全身状態が悪化してくるといった症状が認められる場合は、細菌感染の合併が疑われます。
喫煙者や肺疾患の持病があると繰り返し感染を起こすリスクが高くなります。

 

 

 

急性気管支炎の診断

急性気管支炎の診断は、主に咳、痰といった臨床症状と胸部聴診所見から診断します。胸部聴診所見の異常を認めるときは、肺炎の合併を鑑別する必要があるため、胸部レントゲンもしくは胸部CTを施行する必要性があります。長期(2~3週間以上)に咳が長引くときは、結核を除外する必要性のため、胸部レントゲンは撮る必要があります。

 

 

 

急性気管支炎の治療

急性気管支炎の治療としては、治療では痰の排出を促す薬、痰を伴わない場合は咳止め、細菌感染には抗菌薬を使います。基礎疾患や合併症がない急性気管支炎に対しては、通常は抗菌薬の投与は不要であり、安静、水分栄養補給などの対症療法が中心になります。

 

急性気管支炎の症状は通常、数日から数週間持続します。しかしながら、90日位まで続くものも通常、急性気管支炎として分類されます。気管支炎がそれ以上の期間、ときに数カ月から数年にわたって続く場合は、一般的に慢性気管支炎に分類されます。単に「気管支炎」といわれる場合、通常は急性気管支炎を指します。

 

 

 

慢性気管支炎

慢性気管支炎は、原因不明の咳や痰が1年のうちに3か月以上持続し、なおかつそれが2年以上続いている場合を指します。あらゆる検査を行って、それでもはっきりとした原因がわからないときに慢性気管支炎と診断されることになります。慢性気管支炎の原因としては、アレルギーなどの環境的なもの、空気中の有害物質、受動喫煙を含めた喫煙で気管支に炎症が起こり、その症状が続くことがあげられます。

 

 

 

慢性気管支炎の診断

生活背景(喫煙歴)や身体所見から慢性気管支炎が疑われ、画像検査や呼吸機能検査(肺活量の検査のようなもの)を行って診断が確定します。慢性気管支炎は男性の高齢者に多く、数か月間にわたって咳や痰が続き、粘り気のある痰が出るのが典型的な症状です。咳や痰を慢性的に繰り返す特に冬場は症状が悪化しやすいため、注意が必要です。

 

 

 

慢性気管支炎の治療

慢性気管支炎の治療の基本は、「禁煙」と薬物療法です。痰の分泌を抑制する「去痰薬」、気道が閉塞し息切れがする場合には「気管支拡張薬」などが使用されます。また、ネブライザー、在宅酸素療法などの治療介入を行うこともあります。同時に呼吸リハビリテーションや必要十分な栄養摂取、適度な運動や風邪予防に取り組むなど、生活習慣を見直すことも必要です。

痛風とは

痛風とは乳酸が体内に蓄積され、それが関節内で結晶化してしまい、激しい痛みを伴う関節炎になる病気です。多くの方は、足の親指の関節や、足の甲に痛みが発生します。エジプトのミイラからも発見されており、長い間多くの人が悩まされてきました。しかし日本では、明治時代以前は痛風という病気はなかったといわれています。日本で痛風が見られるようになった背景には、食事の欧米化や、動物性脂肪の大量摂取、過度の飲酒、肥満などがあるようです。また圧倒的に男性に発症(95%程度)しやすい病気です。それは女性ホルモンには腎臓から尿酸の排出を促す働きがあるためです。

 

 

痛風の原因

痛風の原因は尿酸が体内に過剰に蓄積してしまうことで発症します。尿酸は、プリン体という物質を肝臓で体内に吸収するときに生み出される老廃物で、本来は一時的に体内にため込まれた後、尿や便として体外に排泄されます。しかし、プリン体の摂取量が多すぎたり、尿や便の排出量が少なすぎると体内に蓄積されていき、尿酸の量が血液1dl(デシリットル)あたりに7.0㎎を超えると「高尿酸血症」といわれる痛風の原因となる病気名をつけられます。病名の通り、血中の尿酸濃度が常に高い状態で、痛風予備群の代名詞です。プリン体は最近よくテレビCM等で聞くようになりましたが、ビール以外にもレバーやイワシ等にも多く含まれているので、一度食習慣を見直してみる必要があるかもしれません。

 

 

痛風の症状

皆さんもご存知ように痛風は急激な痛みを伴います。その痛みが発生する事を痛風発作といいます。また同時に腫れも生じるのが特徴です。痛みの原因は、体の免疫機能が体内に溜まった尿酸の結晶を異物とみなし、排除しようとするためです。痛みは夜に発生することが多く、痛みが発生してだいたい24時間以内にピークをむかえます。痛みは、通常長くても1週間から10日ほど続きますが、痛風発作が治まると痛みはなくなり、症状も消える点も特徴です。一度治まったからといってそのままにしておくと、病気自体は治ったわけではないので、2回目、3回目と発作を繰り返します。それでも放置しておくと、様々な関節で痛みを発するようになったり、徐々に結晶化した尿酸がこぶのようになります。耳たぶや大きな関節にもできやく、尿酸結節と呼ばれます。尿酸結節が大きくなると、関節が先制してしまったり、動きにくくなってきます。ここまで進行してしまうと、慢性腎臓病や、尿路結石(腎、尿管、膀胱、尿管)も発症しやすくなることが分かってきました。さらに、痛風を発症していると、高血圧や心血管障害(心筋梗塞や狭心症)や脳血管障害(脳梗塞やもう出血)も合併症として発症しやすい傾向にあります。

 

 

痛風の診断

痛風発作を起こしていない方には、血液検査をと尿検査を行い、血中尿酸値と尿中尿酸値の値を見て高尿酸血症かの診断します。また、合併症として発症しやすい高血圧、脂質異常症、糖尿病など生活習慣病や他臓器の疾患を検査して、トータル的に判断します。また発作が発生した人は、痛風発作中の関節内に尿酸の結晶があることを証明することが重要ですので、レントゲン検査により病変を発見しますが、通常は、血液中の尿酸値が高く、痛風独特の症状があれば診断されます。

 

 

痛風の治療方法

【痛風発作を起こしておらず、その他合併症がない場合】

生活指導が中心となり、食事改善や飲酒の制限、運動の促進がメインになります。場合によっては、薬を処方させることがあります。

 

【痛風発作を起こした場合】

食事の改善や飲酒の制限、運動の促進は当然ですが、痛風治療のメインは尿酸をコントロールすることを目的に、薬物療法を中心におこないます。治療内容としては血中尿酸値を1dl中60㎎に抑えるようにします。こうすることで、結晶化してしまった尿酸が再び血液中に溶解して痛風の原因を改善することができます。痛風発作が起こっている時期は消炎鎮痛剤により痛みを緩和し、発作終了後は尿酸降下薬を用いてコントロールを行っていきます。しかし、治療中に痛風発作を発症していまい、治療が中断してしまったり、生活習慣の改善が見られず、良好な治療結果を得られないことがあります。また、尿酸降下剤は長期にわたって服用しなければならないので、必ず医師の指示に従う必要がある。決して自己判断で止めることはないようにして下さい。

肺炎球菌とは

肺炎球菌感染症とは、グラム陽性細菌の肺炎レンサ球菌(肺炎球菌)という細菌が感染して起こる病気です。この菌は、特に冬から春先にかけて、日本人高齢者の鼻や喉の約3~5%に常在しており、咳やくしゃみなどで飛沫感染します。肺炎球菌は自然宿主として、健康で体力がある状態であれば、肺炎球菌感染症を引き起こすことはありません。しかし、免疫力低下や体調不良の時に肺炎、敗血症、副鼻腔炎、気管支炎、中耳炎、髄膜炎等、重い合併症を引き起こすことがあります。健康であっても、高齢者が肺炎球菌に感染すると症状や合併症が重くなる傾向があります。そうした人には、ワクチン接種が推奨されます。
 肺炎球菌に感染しやすいのは、5歳以下の乳幼児と65歳以上の高齢者です。乳幼児は平成25年4月より、高齢者は平成26年10月より、定期接種となりました。過去に肺炎にかかっていても、定期接種を受けることは可能です。
日本人の死因の順位は、1位がん、2位心疾患、3位肺炎(平成28年)となっており、高齢者は肺炎にかかりやすく、重篤化しやすいことが考えられます。5歳以下の乳幼児、65歳以上の高齢者は、定期接種による予防接種を受けましょう。

 

 

肺炎球菌感染症の種類

肺炎球菌性肺炎
肺炎球菌性肺炎とは、肺炎球菌が原因で起こる肺炎です。「誤嚥(ごえん)」と言って、食べ物や飲み物、唾液と一緒に肺炎球菌が気管内に入り込むと、肺炎を発症しやすくなります。高齢者に多く、死亡者が多いのも肺炎球菌性肺炎です。肺炎球菌性肺炎は突然の発熱、全身倦怠感、息切れ、咳によって発症します。血が混じった咳が出るようになり、強い胸の痛みが起こり、咳をすると痛みが増強します。また、胸水が貯まることがあります。肺炎の症状は、風邪の症状に似ていることも多く、これらの症状でつらい場合は、できるだけ早めに病院を受診しましょう。

 

肺炎球菌性中耳炎
肺炎球菌性中耳炎は、小児に起こりやすく、小児に起こる中耳炎のうち30~40%は、肺炎球菌が原因です。肺炎球菌性中耳炎では、耳が痛み、鼓膜の奥に膿が貯まり、鼓膜が赤く膨らんだりします。日本では薬が効きづらい肺炎球菌(多剤耐性)が増加しており、中耳炎の発症を繰り返したり、重症化して治りにくくなることがあります。

 

肺炎球菌性髄膜炎
細菌性髄膜炎のうち、肺炎球菌によって発症するのは20~30%であり、日本では毎年1,000人の小児が罹患しています。細菌性髄膜炎は肺炎球菌やHib(ヒブ)などの細菌が脊髄や脳を包む髄膜に入り込んで発症し、発熱、頭痛、全身倦怠感がみられます。風邪に似た症状で、早い段階での診断が難しく、重症化ことも多く、後遺症を残すこともあるため、予防接種することが重要となります

 

 

 

小児 肺炎球菌(予防接種 生後2ヶ月~ 定期接種)

肺炎球菌は、細菌による子どもの感染症の二大原因の一つです。肺炎球菌感染症はほとんどが5歳未満で発生します。肺炎球菌は、まわりを莢膜(きょうまく)という固い殻におおわれた菌で、特に乳幼児は、この細菌に対する抵抗力がありません。
肺炎球菌は、乳幼児の上気道に感染し、細菌性髄膜炎、肺炎、中耳炎、副鼻腔炎、敗血症などの感染症を引き起こします。肺炎球菌髄膜炎の死亡率や後遺症(水頭症、難聴、精神発達遅滞など)はHib(ヒブ)による髄膜炎より高く、約21%が予後不良とされています。しかし、肺炎球菌ワクチン接種により、重篤なリスクを95%以上減らすことができると言われています。
病気が重いだけでなく、早期診断が難しいうえに抗生剤が効かないこともあります。生後2ヶ月からの接種が可能なので、B型肝炎ワクチン、ロタウイルスワクチン、Hib(ヒブ)ワクチンとの同時接種が可能です。早めに接種をしましょう。

 

 

肺炎球菌(予防接種 65歳以上~ 定期接種)

肺炎は日本人の死因の第3位であり、高齢者は免疫力低下のため罹患しやすくなります。また、高齢になると発熱、咳といった肺炎特有の症状が出ない場合があり、気づかないうちに重篤化し、突然呼吸困難となる場合があります。 インフルエンザと違って、肺炎球菌感染症は、季節に関係なく発症します。肺炎は65歳以上の高齢者にとって健康を大きく損なう病気であるため、肺炎球菌予防接種はとても大切です。
平成30年度までの間は、65歳、70歳、75歳、80歳、85歳、90歳、95歳、100歳の誕生日を迎える方が対象となり、平成31年度からは、接種日当日に65歳である方が対象となります。
定期接種の時期を逃さないように接種しましょう。

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