脳血管疾患とは、「脳の血管が詰まったり、破れたりして、色々な脳の症状が現れるすべての状態」を指しています。脳に酸素や栄養を送っている脳動脈が高血圧や動脈硬化などで破れたり、詰まることで、突然発症します。脳の血管がつまって、血液が流れなくなる「脳梗塞」、脳の血管のもろくなった部分から出血する「脳出血」、動脈瘤(りゅう)の壁が破けて出血する「くも膜下出血」、などがあります。
寝たきり患者の4割は、脳血管疾患が原因と言われています。厚生労働省から発表されている2017年の人口動態統計から、日本人の死因の第3位は「脳血管疾患」であり、身近な怖い病気だということが分かります。
メタボリックシンドロームの増加(高血圧症、糖尿病。高脂血症)、高齢化の進行により、脳血管疾患の発症は今後も増加が予想されます。
初期の脳血管疾患の場合、多く出現するのが麻痺やしびれです。脳血管疾患の場合、時間が経過するごとに進行するため、しびれ程度だったものが一晩経ったら完全に麻痺してしまったということもあります。長い期間をかけてゆっくり進行するしびれの場合は脊髄など神経疾患によるものも考えられますが、数日で急激に進行している場合は、脳血管疾患を疑い、しびれの場所や程度を確認します。
くも膜下出血の場合は、突然の激しい頭痛から症状が出現します。一方、脳梗塞では頭痛が起こることはまれであり、ほとんどの症例では認められません。そのため、頭痛があるかどうかも、脳血管疾患の判別において重要です。
脳梗塞も脳出血も、現れる症状は脳の病変がどの部位に起きたかによって異なります。大脳がやられると、体の半身の運動麻痺(片麻痺)や感覚障害、呂律が回らない、言葉が出ない、出にくい等の言語障害が出ます。
脳幹や小脳に障害が起こると、物が二つに見える(複視)、ふらついて手足がうまく動かない(体幹・四肢失調)など様々ですが、最もひどいときは意識障害が起こります。重度の脳血管疾患の場合、意識障害が起こりやすいために、意識障害がないかどうかをまずは確認します。意識レベルの確認には、名前や場所、今日の日付を答えてもらい、いずれも答えられない場合には、意識障害ありとの判断をします。
もしご家族や近くの方は、脳血管疾患と思われる症状が起こったら、なるべく頭を動かさないように、静かな場所に寝かせます。衣服やベルトを緩め、嘔吐があるようだったら、顔を横に向けて、吐物が気管に入らないようにします。そして、急いで救急車を呼んでください。脳血管疾患は、初めは軽くても、どんどん悪くなることがあるため、必ず受診することが必要です。
脳血管疾患の急性期の治療は、薬による内科的な治療が中心になります。急性期の脳梗塞の治療においては、「血液の固まりを溶かす薬」、「脳を保護する薬」、「脳のむくみを抑える薬」、「血液の固まりを抑える薬」による治療などが行われています。これは、どれだけ早く治療を開始できるかがポイントとなります。
くも膜下出血の場合、発症から72時間以降、2週間以内に脳血管攣縮(けいしゅく)を発症する恐れがあります。脳血管攣縮は脳全体が虚血状態となるため、脳梗塞を併発しやすく、発症すると予後は悪くなります。
このように、脳血管疾患はどれだけ早く治療が出来たかによって、神経症状(手足の麻痺やしびれ、うまくしゃべれない、目が見えにくいなど)を改善することにより、日常生活における動作の障害を最小限に止めることが可能です。
脳血管疾患の中でも多い、脳梗塞には動脈硬化が大きな原因です。動脈硬化とは、血管の壁にコレステロールなどの物質が蓄積し厚さを増し、血液が流れる血管の流れが悪くなっていく現象です。この動脈硬化を促進させ血管に損傷を与える病気は、高血圧や脂質異常症(高脂血症)、さらに糖尿病や、心房細動などの心臓病があります。動脈硬化は、生活習慣病や喫煙、肥満によって進行しやすいと言われています。
動脈硬化には自覚症状がないため、健康診断で脂質異常症や動脈硬化と診断されても、放置してしまう人が多いのです。発症してしまってからでは遅いのです。
他の原因には、血液が固まりやすくなる病気、血圧が下がった時に脳に血液が届かなくなる場合、免疫の異常による疾患があって脳血管が炎症を起こす等があります。また、脱水により血液が濃くなり、血管が詰まりやすくなることもあるので、高温多湿の場所にいる時や入浴前には水分補給に努めましょう。
加齢に伴う脳の老化による物忘れは、誰もが起こりうることですが、物忘れと、認知症は大きく違います。
加齢による物忘れは「昨日の夕飯、何食べたかしら?」
認知症による物忘れは「今日のご飯食べたかしら?」
加齢による物忘れとは、置き忘れや、ご飯の内容などであり、認知症による物忘れとは、「ご飯を食べる」といった、その行動自体を忘れてしまうことです。また、加齢による物忘れは、自分が忘れてしまったことについて、自覚があります。加齢による物忘れは、普段の生活に問題はなく、認知症のような病状や記憶以外の障害が見られることもありません。
アルツハイマー型認知症やレビー小体型認知症は早期に発見し、適切な治療を施すことで症状の進行を遅らせることができるとされています。物忘れが気になるようであれば、早めに物忘れ外来のある認知症専門の医療機関などに受診しましょう。
認知症は、一般的に65歳以上の高齢者に多い病気ですが、65歳未満で発症した場合、「若年性認知症」とされます。
若年性アルツハイマー型認知症は、脳の萎縮スピードも若い分、高齢者に比べると速く、社会的にも家族的にも大きな影響を与えます。若年性アルツハイマー病の特徴として「立体図形が描けない」ことがあります。頭の中では、図形をイメージできるのですが、紙にそれを書くことは出来なくなります。アルツハイマー型認知症は発症してしまえば、必ず進行していくことには変わりなく、進行が進めば家族の顔も分からなくなってしまいます。40歳代患者の場合、高齢者に比べ2倍以上のスピードで病気が進行してしまいます。
患者本人や配偶者が現役世代であるため、病気のために仕事に支障が出たり、仕事が出来なくなることにより、経済的に困難な状況が考えられます。さらに患者本人や配偶者の親の介護が重なることもあり、介護の負担も大きくなることが考えられます。
また、交通事故や転倒の外傷等で脳障害を起こしたのが原因で認知症になる場合もありますし、脳梗塞などの血管性の障害から起こる認知症もあります。
脳卒中(脳梗塞、脳出血、くも膜下出血)などに発症に伴い引き起こされるのが、脳血管性認知症です。脳の血管が詰まったり、血管が破れて出血することにより、脳の組織に血液がめぐらなくなり、脳の働きが低下します。
脳血管性認知症の症状には特徴があり、急に「他人のように性格が豹変する」「涙もろい」「怒りっぽい」「急におしゃべりになる」等、症状が突然出現したり、段階的に悪化・変動することです。
脳血管障害の部位にもよりますが、言語障害、知的能力の低下等があります。記憶力の低下があっても判断力や理解力などは保たれていることが多いです。症状が進むと抑うつ、感情失禁(泣く、起こる)、夜間せん妄(急に落ち着きがなくなる、興奮する、別人のような言動、行動をとる)などが見受けられるようになります。
女性に多い疾患で、原因については詳しく解明されていませんが、特殊なたんぱく質が蓄積することで神経細胞が死んでしまい、徐々に脳全体が縮んでいき、身体の機能も失われていきます。
顕著に見られるのは、記憶力の低下であり、同じ話を繰り返す、食事したことを忘れる、家族の名前を忘れる、日付や居場所が分からなくなるなどの見当識障害、判断力低下で生活に支障が出てきます。被害妄想や幻覚症状が出る場合もあり、暴言、暴力等の問題行動が起こります。アルツハイマー型認知症は、いつの間にかに発症し、徐々に進行します。最終的には、大脳皮質の機能が大きく失われ、歩行、食事や更衣、意思疎通もできなくなり、寝たきりになります。
現時点では、残念ながら、アルツハイマー型認知症の完治させる治療法はありません。しかし、医療の進歩により、症状を緩やかにする薬はあります。そのため、早期発見、早期治療を開始することが重要となります。最近おかしいかなと気付いたら、病院に受診しましょう。
レビー小体型認知症は、脳幹(脳の中心部)にレビー小体というたんぱく質がたくさん蓄積することで神経細胞が死んでしまい、認知症の症状が現れます。
アルツハイマー型認知症は女性に多いですが、レビー小体型認知症は、男性に多く、女性の約2倍と言われています。
アルツハイマー型認知症の初期症状は物忘れですが、レビー小体型認知症では、実際にないものが見える「幻視」や記憶障害、物取られ妄想、異常行動が見られます。また、小股歩行、動きの鈍さ、無表情など、パーキンソン症状といわれるものが出現します。日や時間によって、症状に大きな波が見られます。
アルツハイマー型認知症と同じように、レビー小体型認知症を完治させる治療法はありません。しかし、認知機能の低下、幻視に対して、アルツハイマー病の治療薬であるコリンエステラーゼ阻害薬が有効な場合があります。また抑肝散という漢方薬も、幻視、気分の不安定に対して効果があるという報告があります。パーキンソン症状に対しては、パーキンソン病の治療薬を用います。
冬になり、空気が乾燥してくると、多くの方は皮膚の乾燥を覚えると思います。皮膚は外気に直接接しているため、気温や湿度により変化を生じます。老化等によって皮膚の機能が低下し、皮脂分泌の低下に伴う皮膚の乾燥が生じることが原因となります。特に冬は皮脂分泌が低下し、湿度が低下して皮膚が乾燥しやすくなります。
皮膚の一番外側には「角質層」という部分があり、健康な状態では水分を保ち、外からの刺激が入ってこないようにバリアする働きをしています。しかし、皮膚が乾燥すると、角質層にすき間ができて水分が蒸発しやすくなり、外からの刺激が入り込みやすくなってしまいます。
このような乾燥性皮膚は、加齢による変化として普通に見られる症状であり、とくに湿度の低下する冬季には悪化することになります。その結果として、湿疹性変化が生じるとともに痒みも伴うようになります。
加齢以外の原因として、生活習慣(体の洗いすぎや冷暖房のきかせすぎなど)、病気(アトピー性皮膚炎などの乾燥を伴う皮膚疾患、糖尿病などの内臓疾患、血液透析や一部の抗がん剤治療など)が考えられます。
症状が出やすいのはひざ下(すね)、太もも、腰周り、わき腹などです。、塗り薬として乾燥を防ぐ「保湿薬」や皮膚の炎症をおさえる「ステロイド外用薬」などが使われます。また、かゆみがある場合は、かゆみをおさえる「抗ヒスタミン薬」の飲み薬が用いられます。
治療の基本は保湿剤を塗ることです。夏はさっぱりとして使用感が良いローション、冬は皮膚を保護する効果が高いクリームを塗ることをお勧めします。
入浴時摩擦が大きいナイロンタオルやあかすりを頻繁に使用していると、皮膚のバリア機能が低下して、乾燥やかゆみの原因になることがあります。また長期的にこすり続けると、色素沈着の原因になります。体を洗うときは、刺激の少ない天然素材のタオルがおすすめです。それでも刺激を感じるときは、手でやさしく洗いましょう。
また、汗をかいたらすぐに流しましょう。汗は皮膚の保湿機能を高めるため、かゆみ防止に役立ちます。しかし、汗をかいたままにしておくと、かゆみが出やすくなります。汗はすぐに洗い直すか、タオルで拭くようにしてください。
ポリエステルなどの化学繊維でできた洋服や下着は、皮膚への刺激が強いので避けましょう。例えば冬に活躍する吸湿発熱素材を使った肌着は、皮膚を乾燥させやすくかゆみの恐れがあります。おすすめは、木綿などの天然素材でできた洋服や下着です。
アルコール類、香辛料などはできれば避け、保湿を心掛けることが重要です。
インフルエンザと風邪の違いをご存知でしょうか?普通の風邪の症状は、喉の痛み、鼻汁、くしゃみや咳などが中心で、全身症状はあまり見られません。発熱もインフルエンザほど高くなく、重症化することはほとんどありません。
インフルエンザの場合は、高熱(38℃以上)、関節痛、筋肉痛、頭痛など全身に症状が見られます。その症状に加えて、一般的な風邪の症状、さらに気管支炎や肺炎を併発することにより、重症化することもあります。
高齢者は重症化しやすく、最悪の場合は死に至ることもあります。小児の場合、急性脳症を起こし後遺症が残ったり死亡例もあります。そのため、予防接種を行なうことが重要となります。
インフルエンザには原因となっているウイルスの抗原性の違いから、A型、B型、C型に大きく分類されます。このうち、大きな流行の原因となるのはA型とB型です。
A型インフルエンザウイルスはさらに144種類もの型に分けられますが、そのうち、流行しているのは、A/H3N2(香港型)と、A/H1N1(ソ連型)の2種類です。これらのウイルスはさらにそれぞれの中で、毎年のように小さい変異をしています。
B型インフルエンザウイルスは2種類(山形型、ビクトリア型)ですが、同様にその中でさらに細かい型に分かれます。これらのA/H3N2(香港型)、A/H1N1(ソ連型)、B型が同時期に流行することがあります。そのため、2種類のA 型インフルエンザと B 型インフルエンザのウイルスが、同じシーズンの中で複数流行することが多いので、A 型インフルエンザにかかったあと B 型インフルエンザにかかったりすることがおこります。
インフルエンザの予防は、ワクチンの接種です。予防接種により、インフルエンザウイルスに対抗するための抗体を作らせることができます。毎年、流行するインフルエンザを予測し、予防接種のためのワクチンが作られます。予防接種でインフルエンザウイルスの感染を完全に予防することはできませんが、インフルエンザにかかる人や、重症化して後遺症や死亡に対するリスクを減らすことが出来ます。
現在日本で使われているインフルエンザワクチンは不活化ワクチンといって、インフルエンザウイルスの感染力を失わせて人が免疫を作るのに必要な成分だけを取り出して作ったものです。インフルエンザワクチンには感染力がないので、予防接種によってインフルエンザを発症することはありません。インフルエンザワクチンは、13歳未満では2回接種します。
インフルエンザは、インフルエンザにかかった人の咳、くしゃみ、つばなどの飛沫と共に放出されたウイルスを、鼻腔や気管など気道に吸入することによって感染します(飛沫感染)。インフルエンザが流行してきたら、人混みは避けましょう。特に高齢者や慢性疾患を持っている人や、疲労や睡眠不足の人は、人混みや繁華街への外出を控えましょう。
また、空気が乾燥すると、咽頭粘膜の防御機能が低下して、インフルエンザにかかりやすくなります。外出時にはマスクを利用したり、室内では加湿器などを使って適度な湿度(50~60%)を保ちましょう。帰宅時のうがい、手洗いを心掛けるようにしましょう。
抗インフルエンザ薬は、発症してから48時間以内の治療が効果的です。できるだけ早く、インフルエンザかどうかを検査で調べることが大切です。インフルエンザの検査法として、現在、医療機関では「迅速抗原検出キット」を使う検査が行われています。鼻やのどの粘液を綿棒でぬぐった液や、鼻水(鼻かみ液)をキットを用いて検査すると、感染があるかどうかや感染しているウイルスの型が短時間(5分以内)でわかります。
ただし、症状が出る前のウイルス量が少ない時期に検査した場合や、検査する材料の採取がうまくいかなかった場合は、感染していても陽性にならないことがあります。
インフルエンザの治療に用いられる薬としては、抗インフルエンザウイルス薬があります。これは、医師がその必要性を判断して処方されます。現在使われている抗インフルエンザウイルス薬は、48時間以内に投与することで効果的に症状を抑えます。
インフルエンザのウイルスは、発症して48時間以内にもっとも増殖しますが、早いうちにインフルエンザとわかれば、薬によってウイルスの増殖を抑えることができます。ウイルスの増殖が少なければ、症状が軽くて済むだけでなく、ほかの人への感染も少なくとどめることができるのです。
それ以外には、症状を和らげる治療として高熱には解熱剤、せきには鎮咳薬(せきどめ)、たんがひどい場合は去痰薬(たんを切れやすくする)などが使われることがあります。
症状が出始めてからの時間や、病状によって、医師は一人ひとりの患者さんを診て抗インフルエンザウイルス薬を使用するかどうかを判断しますので、必ず医師の指示に従ってください。
内視鏡とは、先端にレンズの付いた(ビデオスコープ)を内蔵した太さ約1cmの細長い管を口あるいは肛門より挿入し、治療を行うものです。腹痛、貧血、便秘、血便、下血などの原因を調べるため行うもので、食道・胃・十二指腸・大腸に発生した潰瘍、炎症、腫瘍、ポリープなどを診断するために行います。その際に組織検査のため病変の一部を摘み取ってくることがあります(生検法といいます)。
技術や医療機器の発達により応用範囲が広がり、診断から治療までスムーズに行われるようになってきました。
観察する病変の場所、種類によって方法が異なりますが大きく分けて2種類(上部消化管内視鏡検査と下部消化管内視鏡検査)あります。
検査当日は内視鏡の種類によって異なった処置(絶食や洗腸など)が必要ですので、お間違えのないように指示をご確認ください。
検査当日は、胃腸の動きを止める薬や麻酔薬など色々な薬を使う可能性があります。検査の安全性を高めるため、検査前にいくつかの項目について質問します。また各項目に心あたりがありましたら必ずお申し出ください。検査できない可能性がございます。
※脳梗塞、心疾患予防のため、血液をさらさらにする薬(抗凝固剤など)をあらかじめ検査前休薬していただくことがあります。担当医とご相談ください
【特に検査が受けにくい例】
•歯の治療のときの麻酔の注射で具合が悪くなったり、アレルギーが出たことのある方。
上部消化管内視鏡検査とは、先端にレンズの付いた(ビデオスコープ)を内蔵した太さ約1cmの細長い管を挿入し、食道、胃、十二指腸を観察する検査です。いわゆる「胃カメラ」の検査です。潰瘍、炎症、腫瘍、ポリープなどを診断するために行います。
当院は検査中の苦痛、嘔吐反射が少ない経鼻内視鏡カメラによる検査を行います。
【経鼻内視鏡のメリット】
◎苦しくない
–挿入時に苦しくない。吐き気や息苦しさがない。心拍数・血圧の変化が少ない。
◎検査中に会話ができる
–検査中に医師と同じモニターを見る事ができる。
–説明を受けながら、不明点・疑問点をその場で確認できる。
◎すぐに日常生活に戻れる
–車の運転・仕事・家事→気分が悪くなければ、すぐできます。
–飲食→30分~60分後から可能です。
1.絶食や内服薬の確認後、血圧を測定します。
2.胃の中をきれいにする液体(消泡剤)のお薬を飲んでいただきます。
3.検査台に寝ていただき、左右いずれかの鼻からゼリー状の麻酔薬を入れます。
4.喉にスプレーの麻酔を追加します。(飲み込む場合と吐き出し場合とあります。)
5.左を下にして横向きになっていただきます。
6.肩に、胃腸の動きを抑える薬を注射します。
7.直径約5mmの細い内視鏡を鼻から挿入します。
8.検査は5~10分程度で終了します。
9.診察室で検査の写真を見ていただきながら、結果の説明をいたします。
10.喉の麻酔の影響がなくなってから、消化のよい食べ物(おかゆやうどん)を食べていただきます。
11.組織の検査を行った場合は、検査当日のみアルコールを控えていただきます。
12.組織検査の結果説明は、約1週間後になります。
強い眠気や吐き気、体のふらつきが生じる可能性があります(麻酔を行うため)ので、 検査後は待合室でしばらく休憩していただきます。
まれに、消化管出血、食道・胃穿孔などの偶発症が生じた場合、入院や緊急の処置・手術が必要となることがあります。
下部消化管内視鏡検査とは、大腸(結腸と直腸)と小腸の一部を観察するために肛門から内視鏡を挿入し、これらの部位に発生したポリープやがん、炎症などを診断します。組織の一部をとって調べたり(生検)、ポリープや早期大腸がんを内視鏡的に切除することもできます。
大腸の内視鏡検査を行うには、大腸の中を空にしなければなりません。前日に自宅で下剤を服用して頂きます。
前日の夕食はある程度の制限がありますのでご注意ください。当日の朝食は食べられません。
1. 着替えをし、専用のお部屋にて検査の準備が始まります。
2. 腸の中身をきれいにするお薬(洗浄剤)を飲みながらトイレに通い、腸の中を徐々にきれいにしていきます。(2~3時間程かけて腸の洗浄をします。)
3. 腸の洗浄が完了した方から順番に検査にお入りいただきます。
4. 検査台に寝ていただきます。
5. 全身状態を確認した後、鎮静剤を注射し、半分眠ったような状態で検査を行います。(ご希望によっては鎮静剤を使わないこともあります)
6. 直径約約10~13mmの細い内視鏡を肛門から挿入します。
7. 検査は10~30分程度で終了します。
8. 検査後はおなかが張っておりますので、ガスを出してください。
9. 消化のよい食べ物(おかゆやうどん)を食べていただきます。
10. 組織の検査を行った場合は、検査当日のみアルコールを控えていただきます。
11. 組織検査の結果説明は、約1週間後になります。
当日はいろいろな薬を使う可能性があるので、車は検査後には運転はできません。
手術を行なった場合は、今後の生活に関する詳しい注意事項の説明が医師か看護師からあります。
組織やポリープをとった方は、指示により3日間ほど胃腸に優しい食事をしてください。刺激物、消化の悪いもの、脂っこいもの、アルコール類は避けてください。
便に少量の出血なら心配ありませんが、出血が多い、止まらない、痛みが続く場合は当院へ至急連絡してください。出血が多いときは便器が真っ赤になります。当日の激しい運動はおやめください。また、お風呂はシャワー程度が無難です。
まれに、消化管出血、大腸穿孔などの偶発症が生じた場合、入院や緊急の処置・手術が必要となることがあります。
身体に不調がでなくても、定期的な検査をオススメいたします。また下記のような症状の方は、早急に検査を受けてください。
・胸焼け、胸のつかえた感じがある
・黒色の便がでる
・胃がもたれる
・みぞおちあたりが痛い
・食欲がない
・検査で異常が見つかった
・血便が出る
・便が以前に比べて細くなった
・便秘と下痢を繰り返す
・切除していない大腸ポリープがある
・大腸がんが心配である
上記以外でも気になることがあれば、いつでもご相談ください。
私たちの体には、免疫力という力があります。これは、病原体などの異物(抗原)が侵入するとリンパ球などが適切に働いて異物(抗原)を排除する働きのことです。この働きを利用したのが予防接種(ワクチン)です。ワクチンは毒性を弱めた病原体(生ワクチンといいます)や無毒化した病原体の一部(不活化ワクチンといいます)を接種することにより、免疫ができて病気の予防をしたり、病気がかかったとしても軽くすむことができます。 また、予防接種には予防接種法に基づき接種時期(年齢)が定められ、各市町村において無料で接種できる「定期接種」と、それ以外の「任意接種」があります。 定期接種のワクチンでも定められた時期以外の接種では、任意接種(基本的に有料)となってしまいます。なお、予防接種法の改正により必要に応じて任意接種のワクチンが定期接種に変更になることがあります。
主なワクチンは以下の通りです。
・B型肝炎(生後2か月~)
・Hib(ヒブ)(生後2ヶ月~)
・小児用肺炎球菌(生後2ヶ月~)
・4種混合(ジフテリア・百日せき・破傷風・ポリオ)生後3ヶ月~
・2種混合(ジフテリア・破傷風)
・BCG(生後5ヶ月~)
・MR(麻疹・風疹)(1歳~)
・水痘(水ぼうそう)(1歳~)
・日本脳炎(生後6ヶ月~)
・HPV(ヒトパピローマウイルス・中学1年生~女子のみ)
B型肝炎はB型肝炎ウイルスの感染によって起こる肝臓の病気です。肝炎を発症すると、黄疸、食欲不振、全身倦怠感、腹部症状が見られます。主な感染経路は感染者と血液の接触、性行為や分娩時の母子感染によって感染します。非常に感染力が強く、HIVウイルスの50~100倍も強いことが分かっています。このウイルスは、年月を経て、慢性肝炎、肝硬変や肝臓癌などになることがあります。 2016(平成28)年4月以降に生まれたお子さんは、定期予防接種となります。全部で3回接種し、1歳になるまでに接種を完了させます。乳幼児期に3回の接種を行なった場合、ほぼ全ての人が免疫を獲得することができます。免疫は少なくても15年は持続すると言われております。
Hib(ヒブ=インフルエンザ菌b型)というインフルエンザ菌によるワクチンです。生後2ヶ月~接種することが出来ます。毎冬に流行するインフルエンザウイルスとは異なります。 Hib(ヒブ)は人から人に感染します。鼻や喉から入って、喉の奥や肺、髄膜に炎症をおこします。髄膜に炎症を起こすと細菌性髄膜炎となります。早期の診断が難しく、抗菌剤が効きにくく治療も困難です。また、髄膜炎の後遺症として、発達障害、知能障害、運動障害、聴力障害が残る場合があります。 Hib(ヒブ)は人から人に感染するため、保育所や幼稚園に通っている子供は2~3倍感染が多いと言われています。厚生労働省の調査によるとHib(ヒブ)ワクチン接種者は細菌性髄膜炎のなどの重症感染症を95%以上減らすことができます。生後2ヶ月からの接種が可能なので、B型肝炎、ロタウイルスワクチン、小児肺炎球菌との同時接種が可能です。早めに接種をしましょう。
肺炎球菌はHibとともに細菌による子どもの感染症の二大原因の一つです。肺炎球菌感染症はほとんどが5歳未満で発生します。肺炎球菌はまわりを莢膜(きょうまく)という固い殻におおわれた菌で、特に乳幼児は、この細菌に対する抵抗力がありません。 肺炎球菌は幼児の上気道に感染し、細菌性髄膜炎、肺炎、中耳炎、副鼻腔炎、敗血症などの感染症を引き起こします。肺炎球菌髄膜炎の死亡率や後遺症(水頭症、難聴、精神発達遅滞など)はHib(ヒブ)による髄膜炎より高く、約21%が予後不良とされています。しかし、肺炎球菌ワクチン接種により重篤なリスクを95%以上減らすことができると言われています。 病気が重いだけでなく、早期診断が難しいうえに抗生剤が効かないこともあります。生後2ヶ月からの接種が可能なので、B型肝炎ワクチン、ロタウイルスワクチン、Hib(ヒブ)ワクチンとの同時接種が可能です。早めに接種をしましょう。
・ジフテリアとは…
ジフテリア菌が喉に感染し、喉の痛み、犬吠え様の咳、発熱、眼球や横隔膜などの麻痺が起きます。喉の炎症が強まると、極めて強い呼吸困難が生じます。ジフテリアに罹患した場合、乳幼児や40歳以上の方は重篤化しやすく、20%程度の方が死亡してしまうと言われています。
・百日咳とは…
百日咳菌による感染症で1年を通じて発生します。咳やくしゃみなどの飛沫感染です。感染力が強く、集団感染を起こすこともあります。最初は鼻水、軽い咳などがみられますが、徐々に咳が強くなって激しい咳、発作性の咳が見られます。成人では比較的軽い症状で経過しますが、乳幼児の場合無呼吸発作など重篤化することがあり、死亡する例もあります。
・破傷風とは…
破傷風菌が傷口から入って感染をおこし、筋肉を痙攣させる症状が起きます。ひきつった表情、口や手足の痺れ、首筋が張る、体が痛いなどの症状があらわれます。その後、痺れや痛みが体全体に広がり、全身を弓なりに反らせる姿勢や呼吸困難が現れたのちに死亡します。 予防接種が法定接種以前(1968年10月15日以前)の方はワクチン接種をしていない恐れがあります。また、免疫は10年間持続しますので、10年経過後は追加接種をお勧めします。
・ポリオ(急性灰白髄炎)とは…
ポリオウイルスによる四肢の急性弛緩性麻痺を症状とする疾患であり、特に感染しやすいのは、5歳未満の子どもです。日本では小児に多発したことから小児麻痺と呼ばれていました。 ポリオウイルスは非常に感染性の高い病気であり、人から人へ感染します。最も多いのは汚染水を通じた感染です。神経系を侵すこともあり、これによって身体の麻痺を引き起こす可能性があります。ポリオウイルスに対する薬はないため、防接種によって予防することが重要です。
4種混合接種時期
1期:生後3ヶ月から接種できます。3~8週間隔で3回、3回目の約1年後(6か月後から接種可能)に4回目を接種します。 2期:11歳から、二種混合(DT)ワクチンを1回接種します。
結核は結核菌の空気感染によって感染します。結核は母親からの免疫がないため、生まれたばかりの赤ちゃんも結核に感染するリスクがあります。年齢が幼いほど抵抗力が弱いため、結核性髄膜炎や粟粒結核などで重症化することがあります。感染する前にBCGワクチンを接種することが重要です。 生後5ヶ月から7ヶ月での接種がおすすめです。現在は赤ちゃんの結核はたいへん少ないので、四種混合(DPT-IPV)ワクチンを3回受けた後の生後5ヶ月頃に接種するのが最適です。 厚生労働省によると、BCGの予防接種をすることで小児の結核の発症リスクを52~74%程度、重篤な髄膜炎(ずいまくえん)や全身性の結核に関しては64~78%程度減らすとされています。
麻疹(麻しん・はしか)とは…
麻疹ウイルスは感染力がとても強く、感染した90%以上が発症します。感染経路としては飛沫感染のほか、接触感染や空気感染もあります。10日~12日の潜伏期間ののち、38度前後の発熱や咳などの症状がでます。咳、くしゃみ、鼻水などの上気道症状、目やに、結膜充血などの症状が現れます。発熱3~4日目から発疹が出て、口の中に「コプリック斑」と呼ばれる麻疹特有の白いブツブツがみられます。高熱は7~10日間くらい続きます。 麻疹は命に係わる合併症を引き起こすことも多い疾患で、間質性肺炎、脳症、亜急性硬化症全脳炎等があります。予防接種を受けずに麻疹に罹患した人は数千人に1人の割合で死亡することがあります。麻疹の発症となるウイルス対策は、現在の所予防接種しかありません。
風疹とは…
風疹ウイルスへの感染によって発症します。潜伏期間は2~3週間で、春先から初夏にかけて流行する傾向があります。感染力は弱いですが、飛沫感染、接触感染があります。 喉の腫れと痛み、38℃くらいの発熱といった風邪に似た症状とともに、目の充血、小さな発疹が全身に出ます。発疹に痒みはなく、これらの症状は、3~4日でおさまります。そのため、「3日はしか」と呼ばれることもあります。 風疹は大人が感染すると、症状が重篤化すると言われています。特に風疹に注意が必要なのは、妊娠中の女性です。妊娠中にお母さんが風疹にかかると、胎児は胎内感染し、「先天性風疹症候群」という障害がもたらされる可能性があります。先天性風疹症候群では、胎児の耳、眼、心臓の異常、低出生体重や精神運動発達遅滞などがおこります。 MR(麻しん・風しん)予防接種は、1歳になったら、なるべく早めに受けましょう。第2期は、小学校就学前の1年間です。
水痘(水ぼうそう)は水痘・帯状疱疹ウイルスに感染して発症する急性の感染症です。感染力が極めて強く、2週間程度の潜伏期間を経て発症します。風疹やおたふくかぜよりも感染力が強く、水痘(水ぼうそう)に感染した人の咳やくしゃみを吸い込むことによる飛沫感染や接触感染および空気感染で感染します。まず上気道に感染し、全身の発疹、倦怠感、発熱等の症状が出ます。発疹は首から顔面に生じやすく、体、四肢にも出現し、痒みや痛みを伴います。2014年10月から水痘ワクチンが定期接種となったため、患者数は減少傾向にあります。 水痘(水ぼうそう)は大人が感染すると症状が重篤化すると言われています。特に注意が必要なのは妊娠中の女性です。妊娠中にお母さんが水痘(水ぼうそう)にかかると、胎児は胎内感染し、「先天性水痘症候群」という障害がもたらされる可能性があります。子宮内発達遅延、帯状疱疹に伴う皮膚瘢痕、四肢低形成、眼球異常などの障害が生じることもあります。 また、大人の水痘(水ぼうそう)は子供と共通した症状の他に水痘肺炎を引き起こす可能性があります。水痘肺炎は発疹出現後1週間以内に発熱・咳・多呼吸・呼吸困難などが急速に進行し、死亡することもあります。 水痘(水ぼうそう)の予防接種は、第1期は、1歳です。1歳になったら、できるだけ早めに接種しましょう。第2期は、1回目の3ヶ月後~1年後に受けることをすすめられています。
日本脳炎は日本脳炎ウイルスの感染によって起こります。日本脳炎ウイルスは、主にコガタアカイエカなどの蚊を媒体として感染していきます。日本脳炎ウイルスに感染した豚を刺した蚊に刺されることで、日本脳炎ウイルスに感染します。日本脳炎ウイルスに感染したからといって発症するわけではなく、感染者のうち発症するのは約1,000人に1人といわれています。潜伏期間は6~16日間程度、38度以上の高熱、嘔吐、頭痛、光への過敏症、意識障害など中枢神経系障害の症状があります。日本脳炎の死亡率は20~40%であり、子どもと高齢者の死亡率が高くなっています。治癒しても45~70%の方に障害が残ると言われています。 日本脳炎の予防接種は生後6ヶ月から接種できますが、標準的には3歳からの接種となっています。1~4週間隔で2回、2回目の約1年後に3回目を接種します。第2期は、9~12歳で1回接種します。
HPVワクチンとは女性の子宮頸癌や尖圭コンジローマなど、HPV疾患を予防するワクチンです。 子宮頸癌はウイルスへの感染によって形成される病気であり、主に性交渉により感染します。女性においてウイルスが排除されずに感染が続いた場合、子宮頸癌に進行する場合があります。 接種の推奨年齢は小学6年生~高校1年生相当の女子です。HPVワクチンは「サーバリックス」と「ガーダシル」の2種類あり、どちらかを3回接種しなければ十分な免疫が獲得できません。「サーバリックス」と「ガーダシル」は、それぞれ推奨される接種間隔が異なります。 HPVワクチン接種後にみられる主な症状には接種部位の痛みやはれ、赤みがあります。まれに呼吸困難、じんましんなどを症状とする重いアナフィラキシーや、足の力が入りにくいなどの症状や頭痛、嘔吐、意識の低下などの症状があり、積極的勧奨は差し控えとなっております。
・ロタウイルス(生後2か月~)
・おたふくかぜ(1歳~)
・インフルエンザ(生後6ヶ月~)
・A型肝炎(1歳~)
ロタウイルスは2月~5月に流行する胃腸炎を起こすウイルスです。感染力がとても強いので保育所、幼稚園などでもあっという間に流行します。ロタウイルスは人から人に感染し、空気感染、飛沫感染など様々な経路で感染します。 突然の嘔吐で発症し、水様性の下痢と発熱が起こることが多い病気です。乳幼児がほとんど経験すると言っていいほどの病気ですが、嘔吐や下痢によって脱水症状を起こし、重症化するといったことがあります。乳幼児が胃腸炎で入院する原因の50%以上はロタウイルスによるものだそうです。 ワクチンを接種することにより、病気を予防、あるいはかかったとしても症状を軽くし、脳症などの合併症を防ぐ効果があります。 ロタウイルスワクチンは経口の生ワクチンであり、接種後は4週間以上間隔をあけなければいけません。任意接種ですが、子どもは重症化しやすいため受けることがすすめられています。
おたふくかぜはムンプスウイルスに感染して発症します。咳やくしゃみを吸い込むことによる飛沫感染や接触で感染します。2~3週間程度の潜伏期間を経て発症します。しかし、感染しても症状が現れない不顕性感染は30~35%とされています。 症状は、発熱と耳下腺の腫脹(はれ)が特徴です。耳下腺炎の腫脹は1~3日でピークとなり、その後3~7日かけて消退します。耳下腺炎の腫脹・圧痛、唾液腺の腫脹、嚥下痛、発熱を主症状として発症し、全身倦怠感、食欲低下、頭痛、筋肉痛等を伴うことがあります。 おたふくかぜは大人が感染すると症状が重篤化すると言われています。髄膜炎を引き起こし、発熱、頭痛や吐き気、耳鳴りやめまいが出ることもあります。また、注意しなければならない合併症は、男性は睾丸炎、女性は卵巣炎、また膵炎(すいえん)もあります。 睾丸炎は成人男性の10~30%の頻度で起こり、耳下腺の腫脹後4~10日くらいに多いとされています。睾丸の腫れと痛みが3~7日くらい続きます。睾丸の萎縮を起こすこともありますが、片側だけのことが大部分なので不妊症となることはほとんどありません。 卵巣炎は下腹部の痛みが特徴的な症状です。膵炎は、7~10日目激しい腹痛と嘔吐、発熱などの症状が現れますが、大体、1週間程度で軽快します。 おたふくかぜの予防接種は、1歳になったら、なるべく早めに受けることはすすめられています。第2期は、小学校就学前の1年間です。
インフルエンザはインフルエンザウイルスによって引き起こされる急性感染症です。突然の38度以上の発熱、頭痛、関節痛、筋肉痛、全身倦怠感、食欲不振等が現れるのが特徴です。例年12月から流行が始まり、1~2月にピークを迎えます。例年のインフルエンザの感染者数は国内で推定約1000万人いると言われ、直接的及び間接的にインフルエンザの流行によって生じた死亡推計数は約1万人とされています。 インフルエンザウイルスはA型、B型、C型の3種類があり、全ての年齢層に対して感染し、世界中で繰り返し流行しています。日本では季節性インフルエンザは湿度と温度が低い冬季に毎年のように流行します。インフルエンザウイルスで流行するのは主にA型とB型です。A型は特に遺伝子変異が起こりやすく、変異して新たな感染源となって毎年流行を繰り返します。 インフルエンザが重症化しやすい方は、乳幼児、高齢者、妊娠している女性です。呼吸器、心臓などに慢性の病気を持っている方も重症化しやすく、最悪の場合は死に至ることもあります。子供は、意識障害や脳炎・脳症などを併発し、危篤状態に陥ることもあります。重症化を防ぐためにも、インフルエンザワクチンの予防接種は有用です。 インフルエンザの予防接種は、例年10月から開始されます。子供は年齢により2回行う必要があります。
A型肝炎はA型肝炎ウイルスの感染が原因で起こる肝炎のことです。感染経路は汚染された食物などを摂取することによる経口感染、性的接触による感染もあります。潜伏期間は1ヶ月程度であり、黄疸、発熱、全身倦怠感などで発症しますが、多くは数週間くらいの入院で後遺症もなく治ります。気がつかない程度に軽いこともありますが、劇症肝炎といって命に関わることもあります。劇症肝炎や細胆管炎性肝炎(さいたんかんえんせいかんえん)になると、治癒までに半年くらいかかる場合もあります。 現代では衛生状態が良くなったので自然感染の機会が激減し、60歳代以下の日本人のほとんどは免疫を持っていません。そのため免疫をつけるにはワクチンが有効です。 2013年3月から、任意接種ですが、子どもでもA型肝炎ワクチン接種が受けられるようになりました。1歳以上から接種可能です。
交通事故で最も多いケガは、頚椎捻挫、打撲、骨折、脱臼等です。 事故の直後は興奮状態にあり、痛みを感じていない場合があります。時間が経ってから痛みを感じるため、治療開始も遅くなりがちで、放置しておくと治りにくくなります。 交通事故で多い、むちうち症候群(頚椎捻挫、外傷性頚部症候群)、脊髄損傷、骨折、頭部外傷についてご説明いたします。
いわゆる「むちうち(頚椎捻挫)」とは、交通事故などで頚部に突然衝撃を受け、頚椎周囲の筋肉や神経に損傷を受けて発生する傷害のことを言います。 首の周辺痛み、頭痛、吐き気、めまい、耳鳴りなど、多様な症状が出ること、また事故後数日してから症状が出ることがあります。頚椎捻挫のほとんどが、軽い症状で済むことが多いですが、重症例だと、上半身が痺れる、全身倦怠感、視力障害などの症状が続くことがあります。 「むちうち」の治療は、捻挫と同様に、湿布にて痛みを緩和し、安静のために頚椎カラー装具(コルセット)を使用すると、比較的治りが早くなります。疼痛が治まったら、なるべく早く少しずつ動かさない筋肉の運動をして、機能を回復させるためのリハビリを開始します。
脊髄とは背骨の中にある中枢神経のことであり、末梢神経と脳を繋ぐ重要な神経です。この脊髄を損傷すると、脳から末梢神経への信号が阻害されるため、四肢に麻痺が生じます。受傷し、交感神経が傷ついてしまうと、めまい、のぼせ、倦怠感等の症状が現れます。脊髄は損傷すると、修復や再生が困難と言われています。交通事故後に手足の知覚障害、めまいや吐気などの症状がでた場合は、千問の整形外科を受診することをおすすめします。
交通事故にあって怪我をしてしまったとき、考えられるのが骨折です。骨折と一口に言っても、その症状は様々ですが、中には「痛みがほとんどない」「見た目からは骨折しているとわからない」といったような骨折もあります。 交通事故によって骨折しやすい場所は、肋骨と骨盤です。 肋骨骨折は、胸部に衝撃を受けることのより発生します。深呼吸時以外、痛みが少ないため、気づかない場合もあります。肋骨骨折の治療は、バストバンドとよばれる胸部に巻くバンドで固定して安静にします。 骨盤は体の中心にある骨で、上半身と下半身をつなぐ役割を果たしています。骨盤の骨折は、交通事故の場合、車両と接触したり、強い衝撃で骨盤をぶつけたなどで骨折します。骨盤骨折は激しい痛みを伴いやすく、同時に大量に出血すると、ショック状態に陥ることがあり注意が必要です。
交通事故で頭を強く打ってしまった場合、脳損傷の可能性があります。軽い頭部外傷では治療の必要はありませんが、頭痛や吐き気などの症状がある場合は、必ず病院での診察が必要です。 時には、脳挫傷の恐れがあり、その場合は、頭蓋内出血や脳の内外に血腫(血のかたまり)ができ、手術が必要な場合があります。このような手術は生命の危機に瀕している状態からの回復が主な目的であり、麻痺や言語障害の改善のためのものでもあります。 頭部外傷の後遺症には、手足の麻痺、言葉障害や高次機能障害(記憶、感情)、その他てんかんを起こすことなどがあります。 当院では、このような頭部外傷の方々の場合は、速やかに専門の脳神経病院を紹介させていただきます。
加齢に伴う脳の老化による物忘れは、誰もが起こりうることですが、物忘れと、認知症は大きく違います。 加齢による物忘れは「昨日の夕飯、何食べたかしら?」 認知症による物忘れは「今日のご飯食べたかしら?」 加齢による物忘れとは、置き忘れや、ご飯の内容などであり、認知症による物忘れとは、「ご飯を食べる」といった、その行動自体を忘れてしまうことです。また、加齢による物忘れは、自分が忘れてしまったことについて、自覚があります。加齢による物忘れは、普段の生活に問題はなく、認知症のような病状や記憶以外の障害が見られることもありません。 アルツハイマー型認知症やレビー小体型認知症は早期診断にて、適切な治療を施すことで症状の進行を遅らせることができます。物忘れが気になるようであれば、早めに物忘れ外来のある認知症専門の医療機関などに受診しましょう。
脳卒中(脳梗塞、脳出血、くも膜下出血)などに発症に伴い引き起こされるのが、脳血管性認知症です。脳の血管が詰まったり、血管が破れて出血することにより、脳の組織に血液がめぐらなくなり、脳の働きが低下します。 脳血管性認知症の症状には特徴があり、急に「他人のように性格が豹変する」「涙もろい」「怒りっぽい」「急におしゃべりになる」等、症状が突然出現したり、段階的に悪化・変動することです。 脳血管障害の部位にもよりますが、言語障害、知的能力の低下等があります。記憶力の低下があっても判断力や理解力などは保たれていることが多いです。症状が進むと抑うつ、感情失禁(泣く、起こる)、夜間せん妄(急に落ち着きがなくなる、興奮する、別人のような言動、行動をとる)などが見受けられるようになります。
女性に多い疾患で、原因については詳しく解明されていませんが、特殊なたんぱく質が蓄積することで神経細胞が死んでしまい、徐々に脳全体が縮んでいき、身体の機能も失われていきます。 顕著に見られるのは、記憶力の低下であり、同じ話を繰り返す、食事したことを忘れる、家族の名前を忘れる、日付や居場所が分からなくなるなどの見当識障害、判断力低下で生活に支障が出てきます。被害妄想や幻覚症状が出る場合もあり、暴言、暴力等の問題行動が起こります。アルツハイマー型認知症は、いつの間にかに発症し、徐々に進行します。最終的には、大脳皮質の機能が大きく失われ、歩行、食事や更衣、意思疎通もできなくなり、寝たきりになります。 現時点では、残念ながら、アルツハイマー型認知症の完治させる治療法はありません。しかし、医療の進歩により、症状を緩やかにする薬はあります。そのため、早期発見、早期治療を開始することが重要となります。最近おかしいかなと気付いたら、病院に受診しましょう。
レビー小体型認知症は、脳幹(脳の中心部)にレビー小体というたんぱく質がたくさん蓄積することで神経細胞が死んでしまい、認知症の症状が現れます。 アルツハイマー型認知症は女性に多いですが、レビー小体型認知症は、男性に多く、女性の約2倍と言われています。 アルツハイマー型認知症の初期症状は物忘れですが、レビー小体型認知症では、実際にないものが見える「幻視」や記憶障害、物取られ妄想、異常行動が見られます。また、小股歩行、動きの鈍さ、無表情など、パーキンソン症状といわれるものが出現します。日や時間によって、症状に大きな波が見られます。 アルツハイマー型認知症と同じように、レビー小体型認知症を完治させる治療法はありません。しかし、認知機能の低下、幻視に対して、アルツハイマー病の治療薬であるコリンエステラーゼ阻害薬が有効な場合があります。また抑肝散という漢方薬も、幻視、気分の不安定に対して効果があるという報告があります。パーキンソン症状に対しては、パーキンソン病の治療薬を用います。
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