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  1. 認知症

疾患情報

認知症

認知症と加齢に伴う物忘れ

加齢に伴う脳の老化による物忘れは、誰もが起こりうることですが、物忘れと、認知症は大きく違います。
加齢による物忘れは「昨日の夕飯、何食べたかしら?」
認知症による物忘れは「今日のご飯食べたかしら?」
加齢による物忘れとは、置き忘れや、ご飯の内容などであり、認知症による物忘れとは、「ご飯を食べる」といった、その行動自体を忘れてしまうことです。また、加齢による物忘れは、自分が忘れてしまったことについて、自覚があります。加齢による物忘れは、普段の生活に問題はなく、認知症のような病状や記憶以外の障害が見られることもありません。
アルツハイマー型認知症やレビー小体型認知症は早期に発見し、適切な治療を施すことで症状の進行を遅らせることができるとされています。物忘れが気になるようであれば、早めに物忘れ外来のある認知症専門の医療機関などに受診しましょう。

 

 

 

若年性認知症

認知症は、一般的に65歳以上の高齢者に多い病気ですが、65歳未満で発症した場合、「若年性認知症」とされます。
若年性アルツハイマー型認知症は、脳の萎縮スピードも若い分、高齢者に比べると速く、社会的にも家族的にも大きな影響を与えます。若年性アルツハイマー病の特徴として「立体図形が描けない」ことがあります。頭の中では、図形をイメージできるのですが、紙にそれを書くことは出来なくなります。アルツハイマー型認知症は発症してしまえば、必ず進行していくことには変わりなく、進行が進めば家族の顔も分からなくなってしまいます。40歳代患者の場合、高齢者に比べ2倍以上のスピードで病気が進行してしまいます。
患者本人や配偶者が現役世代であるため、病気のために仕事に支障が出たり、仕事が出来なくなることにより、経済的に困難な状況が考えられます。さらに患者本人や配偶者の親の介護が重なることもあり、介護の負担も大きくなることが考えられます。

 

また、交通事故や転倒の外傷等で脳障害を起こしたのが原因で認知症になる場合もありますし、脳梗塞などの血管性の障害から起こる認知症もあります。

 

 

 

脳血管性認知症

脳卒中(脳梗塞、脳出血、くも膜下出血)などに発症に伴い引き起こされるのが、脳血管性認知症です。脳の血管が詰まったり、血管が破れて出血することにより、脳の組織に血液がめぐらなくなり、脳の働きが低下します。
脳血管性認知症の症状には特徴があり、急に「他人のように性格が豹変する」「涙もろい」「怒りっぽい」「急におしゃべりになる」等、症状が突然出現したり、段階的に悪化・変動することです。
脳血管障害の部位にもよりますが、言語障害、知的能力の低下等があります。記憶力の低下があっても判断力や理解力などは保たれていることが多いです。症状が進むと抑うつ、感情失禁(泣く、起こる)、夜間せん妄(急に落ち着きがなくなる、興奮する、別人のような言動、行動をとる)などが見受けられるようになります。

 

 

 

アルツハイマー型認知症

女性に多い疾患で、原因については詳しく解明されていませんが、特殊なたんぱく質が蓄積することで神経細胞が死んでしまい、徐々に脳全体が縮んでいき、身体の機能も失われていきます。
顕著に見られるのは、記憶力の低下であり、同じ話を繰り返す、食事したことを忘れる、家族の名前を忘れる、日付や居場所が分からなくなるなどの見当識障害、判断力低下で生活に支障が出てきます。被害妄想や幻覚症状が出る場合もあり、暴言、暴力等の問題行動が起こります。アルツハイマー型認知症は、いつの間にかに発症し、徐々に進行します。最終的には、大脳皮質の機能が大きく失われ、歩行、食事や更衣、意思疎通もできなくなり、寝たきりになります。
現時点では、残念ながら、アルツハイマー型認知症の完治させる治療法はありません。しかし、医療の進歩により、症状を緩やかにする薬はあります。そのため、早期発見、早期治療を開始することが重要となります。最近おかしいかなと気付いたら、病院に受診しましょう。

 

 

 

レビー小体型認知症

レビー小体型認知症は、脳幹(脳の中心部)にレビー小体というたんぱく質がたくさん蓄積することで神経細胞が死んでしまい、認知症の症状が現れます。
アルツハイマー型認知症は女性に多いですが、レビー小体型認知症は、男性に多く、女性の約2倍と言われています。
アルツハイマー型認知症の初期症状は物忘れですが、レビー小体型認知症では、実際にないものが見える「幻視」や記憶障害、物取られ妄想、異常行動が見られます。また、小股歩行、動きの鈍さ、無表情など、パーキンソン症状といわれるものが出現します。日や時間によって、症状に大きな波が見られます。
アルツハイマー型認知症と同じように、レビー小体型認知症を完治させる治療法はありません。しかし、認知機能の低下、幻視に対して、アルツハイマー病の治療薬であるコリンエステラーゼ阻害薬が有効な場合があります。また抑肝散という漢方薬も、幻視、気分の不安定に対して効果があるという報告があります。パーキンソン症状に対しては、パーキンソン病の治療薬を用います。

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