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  1. 眠れぬ夜のひとりごと

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スタッフブログ 2022.03.16
眠れぬ夜のひとりごと

 いつも結城病院のブログをご覧いただきありがとうございます。

 

 麻酔という分野を専門と志してから、様々な手術、患者様を経験してきた。中には覚醒下で行う手術も少なくはなかったが、殆どが眠らせる事で手術を安楽に過ごしていただけるよう努めるものだった。

 私の経験上、麻酔科の医師を前にして眠らない人はいない。「俺、絶対麻酔に負けませんから!」と宣言した屈強な若い男性も、大泣きで入ってきた子供も、毎日明け方3時には覚醒してしまう不眠症のお年寄りも、あっという間に深い眠りに落ち、こちらがそれを良しとするまで目を覚ますことはない。患者様にとっては一瞬の関わり合いだからこそ、入眠時も覚醒時も心地よいと感じられるような、優しい麻酔を心掛けている。

 

 そんな眠らせる事を生業としてきた私が、どうにもこうにも簡単には眠らせる事が出来ないのが、我が家の子供達である。毎夜毎夜、布団の中で苦戦を強いられている。左側の子供その1は、10分おきに「ママ、起きているよね?先に寝てないよね?」と確認を入れながら滝のような汗をかき、その蒸し器のような体をたっぷり抱きしめてくれとせがむ。一方で右側の子供その2は、私の顔中にキスをしながら「ママ、だいすき。こっちむいて?あいらぶゆー。あいしてる。」と、一晩中愛の言葉を耳元で囁き続け、それが日付を超えるまで続くこともある。カオスである。

 絵本を何冊も読んだり、今日一日を三人で振り返ってみたり、子守唄を歌ったり、オルゴールをかけてみたり、時にはドライブへ連れ出してみたり。試行錯誤の毎日だ。

 でも、きっとこんな毎日が数年後には笑い話になり、彼らと同じ布団に入ることすらなくなる日が来る。そう思うと、今日という日の夜を噛み締めずにはいられない。

 まだまだ眠れない日々は続く。それでも、これからも彼らとの一夜一夜を丁寧に過ごしたい。優しい麻酔をかけるように。

 

 最後までお読みいただきありがとうございました。

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