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  1. 糖質制限食のすすめ

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スタッフブログ 2021.06.30
糖質制限食のすすめ

 糖尿病で治療中の人もそうでない人も、食事で糖質摂取を控えることは非常に重要です。昨年春からの行動制限の影響で、「コロナ太り」を気にされている人も多いことでしょう。テレワークは運動不足を助長し、これまで食事や体型に無頓着だった人もダイエットの意識を持ち始めたのではないでしょうか。

 

 炭水化物と糖質を混同している人がいるかもしれません。糖質と食物繊維を合わせたものが炭水化物です。食物繊維は腸内環境と便通に影響するので、制限すべきはもっぱら糖質です。高校の有機化学を思い出してください。炭水化物は炭素と水素から成る化合物です。炭素の輪に水素と酸素がくっついた糖類には、ブドウ糖や果糖などの単糖類と、2つ連結した麦芽糖、乳糖、ショ糖などの二糖類があり、三つ以上が連結したでんぷんやオリゴ糖などの多糖類と、キシリトールなどの糖アルコールを含めた概念が糖質です。

 

 糖質は必ずしも口にして甘いと感じるものばかりではありません。米飯のほかパン、麺類の主成分は糖質です。和食の主食である米飯を抜いても、糖質は副菜や調味料に豊富に含まれます。また、糖質を完全に摂取しなくてもエネルギー不足になる心配はありません。糖質を制限すると血糖が下がって脳の機能や運動のパフォーマンスが低下する、と勘違いしている人がいますが、実はその逆です。食事前の血糖値が低いときの方が脳は冴えわたり、フル回転します。これが単純な計算テストの点数に反映された実験結果もあります。一流アスリートのなかにも糖質制限食で成果を残している選手は大勢います。糖質を摂取すると腸内で分解・吸収されて血液中に入り、急激に血糖値(血液中のブドウ糖の数値)が上昇します。食後に感じる眠気の原因です。血糖値を上げるしくみは体内に複数備わっており、生命維持のためと考えられます。一方で血糖値を下げる物質は、膵臓から分泌されるインスリンというホルモンただ一つです。人類進化の過程で、血糖を下げなければならない事態は想定されていなかったのでしょう。インスリンの作用によりブドウ糖は中性脂肪に再合成され、肝臓や皮下などに蓄積されます。これが肥満の真相です。脂肪分を摂取しても体脂肪は増えません。血糖の上昇とインスリンの働きのバランスが崩れた状態が糖尿病です。では、糖質を摂らなくてもいわゆるガス欠状態にはならないのでしょうか。大丈夫、体内に蓄積されていた脂肪が分解されてケトン体を生じ、エネルギー源として利用されます。人間の体は本来、糖質を摂取するようにはできていません。狩猟しなくても手に入る食物として小麦などの穀物が摂取されるようになり、農耕文化の発達をうながしました。甘いものがどうしてもやめられない、という人も多いでしょう。甘いものすなわち糖質を摂取すると、脳の快楽中枢が刺激されて気持ち良いと感じます。麻薬やアルコール、たばこのニコチンなどが作用するのと同じ部位です。中毒性があるため甘いものは簡単にはやめられないのです。

 

 テレビCMで有名な某企業は、劇的な体形変化をコミットすると宣伝します。そのプログラムは徹底した食事管理と、ハードな筋力トレーニングによる肉体改造であり、本質は糖質制限食です。日本の糖尿病専門医の中には糖質制限食に注意喚起をうながす医師もいます。糖質摂取をゼロに近づける食事をすると血糖値が劇的に下がり、そのまま血糖を下げる薬を続けると低血糖に陥る危険があるというのが理由の一つです。裏を返せばそのくらい効果があるわけで、欧米では糖尿病治療に糖質制限は常識です。糖質制限食に関する情報は巷にあふれていますが、第一人者である江部康二先生の著書が最も信頼できますので手に取ってみることをお勧めします。民間療法や怪しいダイエット法に走るよりはるかに安全で有効です。最初から厳格な糖質制限を目指すと挫折するかもしれませんが、主食を抜くだけでも効果があります。少し緩めの制限でも継続すれば効果を実感できます。

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