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  1. 故郷の香り

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スタッフブログ 2021.10.27
故郷の香り

 最近、秋の風を肌で感じると、自分が幼かった頃のことを思いだします。

 

 私は、大きな農家の末っ子で生まれた私の幼い時の遊び場は、トラクターで耕したばかりのフカフカな土の上と泥んこの中でした。青い空の下で、裸足になり土の匂いを感じながら走り回り、また、泥んこを作って「にゅるっ」と指の間から出てくる感触が何とも楽しくていろんな柔らかさの泥んこで、おままごとをしたりして遊んでいました。家では、そんな私の遊び場ともいえる畑に春夏秋冬、季節に合わせた野菜を作って市場へ出していました。春にはケンタッキーインゲン、春菊、夏にはメロン・きゅうり、秋にはサツマイモ・落花生、冬には、ゴボウ・大根、正月向けの切り三つ葉を作っていたそうです。

 
 切り三つ葉は寒い冬の夜の作業場で、コンテナに座布団を敷いたイスに座り石油ストーブをつけて、切り三つ葉の選別作業やラップ包装をして市場に出していました。石油ストーブの上には、豚のホルモンを大きい鍋で茹でて油抜きをしていました。そのため、寒いはずの作業場は、切り三つ葉の良い香りと一緒に石油ストーブと豚ホルモンの匂いが立ち込め暖かったです。寒い時期になると昔は、どこの家でも石油ストーブの上にやかんやなべを置いて煮込み料理をしている光景をよく見ましたが、今はオール電化の家が多くなり、家でも石油ストーブを使うことはなくなり、昔の懐かしい風景を見ることは少なくなりました。

 
 ある日、スーパーで買ってきた三つ葉を切った時のことです。三つ葉の独特な「凛」とした香りがした瞬間・・・。昔、お正月が近づいた寒い夜、三つ葉の出荷の準備中に両親の背中に張り付いて、仕事を眺めていた遠い記憶が薄っすらとよみがえってきました。三つ葉の香りで昔の懐かしい記憶がよみがえり懐かしく、心が澄んでくる感覚を覚えました。それから、三つ葉を切ると、ふとあの頃の親の背中の温かさと昔懐かしい風景を思い出します。私にとって、耕したばかりの土・石油ストーブ・豚ホルモン・三つ葉の香りは、幼少の頃の故郷の香りです。誰しも、「この匂い、なんだか懐かしいなあ・・・。」と思う瞬間があると思います。どうぞ、皆さんもその様な瞬間があれば昔の記憶をたどってみてはいかがでしょうか。

 
 最後までお読みいただきありがとうございました。

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